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健斗と付き合いだして、もう1年くらい経つ。
今日は健斗の誕生日を祝おうと、私は自分の部屋でキッチンに立ち、合いびき肉を捏ねていた。
あの時健斗が、ハンバーグが上手に作れそうだと言ったせいで、私はそれから暇さえあれば、せっせとハンバーグを作り、おいしいハンバーグを目指して研究を重ねた。
納得いくものが作れるようになった頃、健斗とお付き合いを始めた。
初めて私が作ったハンバーグを食べた時、
「これ、世界一でしょ。」
と嬉しそうに頬張ってくれた。
大袈裟だなーって言いながらも、つい頬を緩ませたら、
「その笑顔も世界一でしょ。」
って、笑った。
私にとっては、健斗の笑顔が世界一なんだけどね。
外では相変わらず、愛想のない雪女だったけど、健斗と一緒にいると、自然とリラックスして明るい表情になれた。
健斗はどんな季節でも、私の手を握ってくれる。
突然触れても、
「ひんやりして、気持ちいいー。」
と頬を摺り寄せてくれる。
私もいつでもあたたかい健斗に熱を分けてもらうのだ。
本当に心地よい場所。
私にとって。
今日は外でお祝いしてもいいかなーと思って、何が食べたいかと聞いたのに、
「ゆめのハンバーグ。」
って即答されたから、こうして肉を捏ねている。
特別料理が得意ってわけじゃないから、せっかくの誕生日なのに、あまり豪華な食卓を整えられないんだけどなぁ……。
成型して、少し休ませている間に、付け合わせのサラダを作ったり、スープくらいはつけようと、ミネストローネもどきを作ったり。
普段はライス派だけど、今日はワインで乾杯だから、近くの評判のパン屋さんで、フランスパンを買ってきた。
チーズも添えた。
ハンバーグを焼きつつ、食卓を整えて……。
ちょうどハンバーグが完成した頃、健斗がやってきた。
「ただいまー。」
当たり前のように言うけど、ここ、私の家だし。
クスクス笑いながら、おかえり、と迎えた。
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