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そういえばあのあやかしってどんな感じだったっけ。
母が亡くなってからは母を思い出すことが悲しくこの場所にも来なくなってしまったから幼い頃の記憶があいまいだ。すごく久しぶりにこの場所にきたが、そんなことをしみじみと考えている内に生徒会長はどんどん階段を上って行く。ここの神社に用事があるのか、私は生徒会長の後ろを気が付かれないように上って行く。小さい頃はこの階段を上ることが楽しくて母と手をつないで歩いたり、遊びながら登ったりしたが、今は一人で階段を上がっていく。さすがにこの距離の階段は辛い。
私も歳をとったな。
そんなことを考えながらぜーぜーと階段を上るとやっと頂上についた。頂上のお堂は小さい頃から全く変わらず、荘厳な雰囲気を醸し出していた。そのお堂の中に生徒会長はすーっと入って行った。
「もしかしてここが家??」
そろーっと近づいてみると扉が開いており、その中を覗くと純日本家屋のようなとても長い廊下が続いていた。
「えっ?」
このお堂の大きさからみてもこんな長い廊下があるはずがない。思わず声を出して驚いてしまった。中の広さと外のお堂の大きさが一致していない。中と外とをもう一度見比べて不思議に思い、また好奇心に勝てず中に入ってみることにした。
ちょっとだけ、こそっと入って出てくれば大丈夫よね。あやかしのお家って入ったことないし。
私は意を決して妖の家へと足を踏み入れるのだった。
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