第二章〜あやかしのお家〜

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「お邪魔しまーす。誰かいませんかー。入っちゃいますよー。」  とりあえず声をかけたが、返事がなかったため私は本格的にお屋敷の中に入ることにした。完全なる不法侵入だが、一応声はかけたので大丈夫という妙な自信をもってお屋敷に踏み込んだ。  中に入るときちんと玄関になっており、靴を脱げるスペースもあった。そこには生徒会長のものと思しき靴がきれいに揃えておかれていた。これを見る限り、さすがに土足では入れないので靴をきちんと脱ぎ、揃えて中に進む。  何やっているんだろう私。完全に怪しい建物に入っていくのに靴をきちんと揃えておくなんて。  自分の行動に自分自身で疑問に思いながらそれでも好奇心に勝てず廊下を進んでいく。そうして、玄関を上がり廊下を歩くと、また不思議なことに中庭が見えてきた。 「わぁ。きれい。」  人間の住む世界では出せないような何とも言えないとてもきれいな空だった。空は虹色に晴れ渡り、桃色のような空にはスターダストのようなものがキラキラと光り輝いていた。中庭はたくさんの木々がとてもきれいに剪定されており、大きな池もある。大きな鯉のような虹色にキラキラ光りなんとも言えない美しい魚が泳いでいる。どこか高級旅館のお庭をほうふつとさせる作りだった。  日本庭園ってやつね。まあ高級旅館になんて泊ったこともないけどね。 外と中を見比べていた時も不思議な感覚だったが中に入ってみると余計に不思議な感覚に襲われた。中と外の面積が全く一致しないのだから。小さい頃よくここで遊んでいたからよくわかるが、外から見ると普通の社屋のサイズで、こんなサイズの敷地面積なんてあるはずがない。不思議なことにこの中庭は見渡しても先が見えないほどとても広い。  きれいな日本庭園の反対側には長い廊下があり、いくつもの和室が連なっている。廊下の奥を覗いてみるが先が全く見えない。どれだけ広い家なんだろう。
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