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でも距離を置かなきゃならないとはいえ、あの可愛すぎるしっぽは気になって気になって仕方がない。もふもふだから触りたいし、あのイケメン生徒会長がしっぽをつけてるなんて希少過ぎて気になってしまう。
あー。触りたい。
以前、好奇心に勝てず試しに間違って触れたように見せかけて触ってみようと思っていたのだが、何故か背後に立つとすぐにこちらを向いてしまう。後ろに目が付いているみたいで何度も悔しがったものだ。
いつかは知らんぷりして触ってやるんだから。
「あっ!いけない!今日はそれよりもスーパーの特売日だった。」
耳としっぽを見すぎて時間が思ったより経過していたのに驚き、思わず声に出してしまった。その瞬間、クラスメイトの視線が痛いほどに突き刺さったが、そんなことはお構いなしに私は教室を後にした。
狐耳よりもスーパーの方が大事なんて私も本当に変わった高校生だけどね。
母が亡くなってからというもの。家事の全くできない父に代わり家事全般を任されている。でも、全く苦痛ではなく、寧ろ家事が好きで仕方がない。将来はハウスキーパーになろうかなと考えているくらいだ。私は、学校を後にしてからしばらくランニングが続き、行きつけの激安スーパーに駆け込むことにした。
行きつけなので、何がどこあるのかをすべて把握しており、タイムセールもこのスーパーはまちまちなのだが、持ち前の感の良さと常連で有るが故に大体のセールの時間も読めてきている。今日は特に野菜と卵が安い日で、ここ最近の野菜の高騰にも負けず、三善家の家計を支えてくれているのである。本当にありがたいスーパーである。
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