自分の気持ちが分かりません。

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そんなことを考えていると。 「ところで京ちゃん、僕そろそろ家を出るけど、良かったら一緒に車に乗っていかない? 途中まで送っていくから」 一臣に突然そんなことを言われ、思わずギョッとする。 「お、俺は電車で行くから! 駅も近いし!」 「でも、京ちゃんの職場って大丸公園の方だよね? それなら多分通り道だし、せめて駅までーー」 「ほ、ほんとに大丈夫だから! 自分のことは自分でやるからっ!」 ……まるで親に噛み付く反抗期の子供みたいなことを言い残し、俺は食堂を飛び出した。 ……厚意なのは分かってる。 だけど、家も食事も風呂も寝床も助けてもらっているこの状況で、会社まで車で送ってもらうなんて甘えすぎだ。 なるべく迷惑を掛けたくないっていう俺の気持ち、一臣には通じてないのかな……。 その後、玄関でぼんやりと靴を履いていると、後ろから「おい」と声を掛けられる。 「あ、泉さん……」 相変わらずの鋭い視線。 また何か言われるのかと、思わず身構えると。 「……アンタは偉いな」 意外な言葉を口にされ、俺は目を丸くさせながら泉さんを凝視する。 泉さんは続ける。 「自分のことより相手のことばっか考えて、真面目で、そこがちょっとウザいけど、まあ偉いと思う」 「ええと……?」 「ーーそれでも、一臣さんのことは絶対に渡さない」
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