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今見た光景に、胸がズキズキと痛んでいる。
……ショックを受けている自分に、ショックを受けた。
ーー俺、傷付いてるんだ。一臣が俺以外の人を選んだことに。
何で?俺は一臣とは付き合えないって、確かに自覚したばかりなのに。
……ふと、一臣が転校していったあの頃のことを思い出した。
毎日のように遊んでいた友達が突然いなくなって、もちろん寂しかった。
どこに引っ越したのかもよく分からず、もう一生会えないんだろうなと思った。
今は、すぐ近くにいる。
たとえ俺がこの家から出て行ったって、スマホでいつでも繋がれる。
家だって勤め先だって、お互いに知ってる。
一生会えなくなることなんてない。
そのはずなのに、今の気持ちは何故か、一臣が転校していったあの時と似ている……。
一臣が俺から離れていって、そしてもう戻ってこないような……
そんな感覚。
心臓が、握り締められているかのように苦しい。
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