自分の気持ちが分かりません。

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「何? そう言ってほしかったんじゃねえの?」 「あっ、いや、それはそうなんですが……」 一臣と向き合うって決めた以上、泉さんともきちんと話すべきだと思い、俺は今こうして彼の部屋を訪れている。 泉さんの言う通り、確かにそう言ってほしかったのかもしれない。でも、そんなことは絶対に言わないと思っていたのだ。 泉さんの一臣への気持ちがいい加減なものではないことは分かっている。 だからこそ、俺みたいなポッと出の、しかも低収入で低身長などこにでもいるスペック低めな人間に、一臣を譲るとは思っていなかった。 すると泉さんは、少し寂し気な顔をしつつ、ゆっくりと口を開く。 「……俺は一臣さんに何回もフラれたし、昨日で最後の告白にしようと自分でも決めてた」 ……昨日。俺が偶然見てしまった、あの時だ。
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