恋色～koi iro～

大丈夫。あなたは飛べるの。

あなたが私のもとに降りてきて
私の世界は変わったんだ

色鮮やかな景色と胸が躍る香りに包まれて

私は、幸せの意味を知った

綺麗な翼を休めているあなたの
そのしなやかで美しい姿を眺めるのが好きなの

あなたは時々伸びをして
その美しい翼を広げ、体を震わせる

そんな時、いつも私の心は締め付けられる

今にも大空に飛び立っていきそうな
美しく、たくましいその姿に見惚れながら

その日がそう遠くないって感じるから
つい、泣きそうになる

ごめんね

だけど大丈夫

私の胸の中であなたが元気になって

あなたを待つ次の大空に羽ばたいていく時には

私はきっと
笑顔で手を振れるから

あなたが、傷ついた過去が怖くて
羽ばたけないときは

私がほら、あの崖の向こうで待つの

だからほら
私の胸に飛び込むように思いっきり飛んでみて

大丈夫、怖くないから

あなたは飛べるの

そして、思い切り羽ばたくの

できるよ・・・ほら

でもね、あなたは

「だめだよ、ほら。きみがいなきゃ」

そういって笑って私の胸に落ちてくる

もうっ、だめだよ。
ちゃんと羽ばたいて。あなたは飛べるから

そう、私はあなたを叱る

だけどね、本当はあなたがいなくなる日が今日じゃなくてよかったって

私はそっと胸をなでおろすの

あなたは私の頭を撫でて、微笑む

「ばかだな。泣きながらそんなこと・・・。君がいない空はもう飛べないよ」

そう言ってわたしの頬に添えられた手が暖かくて、涙が後から、後から溢れ出て止まらなくなる

私は、その声、その笑顔
その、少し遠くを見つめる澄んだ瞳を心に焼き付ける

ずっと一緒だよと、笑って言うあなたの声

私はうん、と小さく頷いて頬に当てられたあなたの手を
私の手で包み込むとそっと目を閉じる

そうだったら・・・。
本当にそうだったらどんなにいいだろうな

その、胸をくすぐるような柔らかい声に包まれて

私は

あなたと一緒に歩む未来を夢みるの