最終話 その後の二人 『向日葵に誓って 7』

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最終話 その後の二人 『向日葵に誓って 7』

【R18】  背伸びして交わすキスは、僕を上へ上へと浮上させてくれる。  幼い頃から引っ込み思案で奥手だった僕という人間に新しい扉を与えてくれたのが、Kaiだ。こうやってキスをしていると、Kaiの持っている明るい太陽のようなパワーを分けてもらえるようだ。  それはいつも……いつだってKaiとのキスで感じること。  目を閉じると、瞼の向こうに黄金の向日葵畑が見えた。  明るい黄色、太陽の光線、何もかも溶けていくような、力強いKaiのキス。 「俺のシャツ……似合っているな」  目を細めたKaiの手が、僕のヒップを辿ってきたのでドキッとした。大きな手のひらで強弱をつけて撫でられ揉まれる度に、下半身が疼き出す。今、僕は下半身に何もつけてないから、無性に恥ずかしい。   「あの……後でズボンと下着も貸してもらおうと思って」 「それは眠る時になったら貸してあげるよ。それよりお腹空いてないか」 「ん……さっき少しハルさんと食べたし、今は胸が一杯で……」 「俺もだ。先に優也を食べたいけど、いい?」 「うっうん」 「よしっ!じゃあ行こう!」  そのまま背中を押され……Kaiの寝室へと誘われ、ベッドに座らされた。 「あ……そうだ!待ってて」    Kaiは一度キッチンに戻り、さっき僕が渡した向日葵の花瓶を持って来た。 「優也はこの向日葵の花言葉……知っていたのか」 「あっ……うん」  さっきハルさんや花屋の店主に教えてもらったばかりだけどね。とは言わなかった。 「すごく嬉しかった。まさか優也がそんな行動に出るなんて……驚いたよ」 「そっそうかな……」  確かに最近の僕は変わってきている。  翔と付き合っていた頃のように、ただじっと触れてもらうのを待っているだけじゃ物足りない。ずっと受け身だった僕なのに、Kaiのためなら自分から積極的に何かしてみたくなる。  今日だって……あんなにずぶ濡れになっても、足は止まらなかった。  ベッドサイドに花瓶を置いたKaiが僕を優しく押し倒し、真っ白なシーツに沈んだ所を、腰に手をまわされてギュッと抱きしめられる。 「優也……本当に嬉しい」 「ん?」 「最近、優也から沢山もらってばかりだよ」 「何を?」 「嬉しいことをさ」 「そんな……」  優しく額にキスをされ、それから唇を重ねられる。 「俺と一緒に住んでくれるって本当だよな?」 「僕でよければ」 「当たり前だ。密かに待ち望んでいた。新しいホテルは共同運営だし俺たちの人生もずっと一緒でありたいと願っていた」 「うん……もう僕はずっとここにいるよ」 「ありがとう」  唇は首筋を辿り、左手は僕の胸の突起を擦ったり、摘まんだりし出した。 「あっ……」  Kaiの愛撫に、僕の躰は素直に感じ出す。  もう僕の躰に、翔の痕跡はどこにもない。何度も何度もKaiが上書きして塗り替えてくれた。もうとっくにKaiだけの僕になっていた。だから僕も素直にKaiに躰を委ねられる。  それにしても……僕はソウルでのプチホテル経営の仕事を軌道に載せるのに必死で、kaiに我慢をさせ、一、二週間と会えないことも多かった。そのお陰でホテルは確実に軌道に乗り、日本の本社からも成功を認めてもらえた。父からも姉からも「ソウルはもう永遠に優也に任せた」と言ってもらうことが出来て、やり遂げた充足感で一杯だった。 「優也……何考えている?」 「ん、この前実家に連絡したら、お父さんもお母さんも姉さんも……喜んでいて嬉しかった」 「そうか……新しいホテルが出来たら、みんなを招待しような」 「そうだね」 「あっ俺たちもやろうか」 「何を?」 「丈と洋みたいにお披露目会を」 「え……恥ずかしいよ」 「ふっ……そういうところ変わってないな。可愛い……」  そのまま剥き出しの乳首を、乳輪ごとぱくっと豪快に口に含まれて、思わず身体が震えた。 「あっ……あぁ」 「ん、それにいい声も変わらないな」  唇と手を使って平らな胸を優しく揉み込まれ、いつの間にか下半身に伸びて来た手の平で僕の固くなったものを包まれる。 「先に一回イッテ……」 「あ……うん……」  上下に扱かれ必死にKaiに掴まって絶頂を迎える。  先端からとろりと白濁の蜜が零れ出すと、Kaiはそれを指先で拭い口に含んで舐めた。 「濃いな……ずっとしてなかった?」 「ん……ひとりではしない。Kaiにしてもらうのが好きだから」 「うわっそれ反則。可愛すぎだろ。松・本・さ・ん」 「え……なんでその呼び方」 「あの松本さんを、こんなエロくしたのが俺だと思うと嬉しくてさ!」 「ば……馬鹿!」  Kaiはいつだってこんな調子で僕を明るく笑わせてくれる。   「さぁ、今度は挿れるよ」  久しぶりのせいか、一度出したくらいでは僕の方もまだモヤモヤとしていた。こんな淫乱な躰……と以前は恥じることもあったが、今は違う。    「うん……欲しい。Kaiの……」 「可愛く強請れたね。ほんと可愛い」  素足にもキスが沢山落とされ、内股の薄い皮膚の奥……際どい部分も入念に愛撫され、またイキそうになるのをぐっとこらえる。 「もう……早く……欲しい」  膝の裏を掴まれ大きく左右に割られ、秘めたる箇所を露わにされ、そこへKaiのものをあてられる。期待に胸が膨らむ瞬間だ。 「いいか」 「んっ」  ベッドの中では、僕の方がずっと年上だってことは忘れてしまう。Kaiによってどこまでも蕩けてしまうそうな程甘やかされている自覚がある。  逞しいKaiのモノが、僕をこじ開け侵入してくる。充分にゼリーで濡らされたそこはKaiが動くたびにグチュリと卑猥な音を立てて煽ってくる。中で擦るようにぐるりと大きくかき回されると堪らなく疼く。 「あっ……いいっ、おっきい! んっ……」 「優也、煽るね。いいよ……もっと言って」  素直で豪快なKaiとの営みの間は、強請るような言葉もどんどん素直に出てしまう。  こんな風に自分をさらけ出せ、明け渡せる相手に出逢えて本当に嬉しい。腰をホールドされ上下にピストン運動をされ、僕のモノはKaiの逞しい腹筋にぶつかって、また固くなってしまう。 「あっ……あ……」 「いいよ。いい……すごく締め付けてくる」 「一緒に!」 「あぁ一緒に!」   僕たちは共に高め合う。    一方的ではない営みを、いつもしてくれるKai。  心も躰も安心して預けられる僕の大切なパートナーなんだよ、君は。  向日葵の花は、僕たちのプロポーズをずっと見ていた。  こんな僕たちを、これからもずっと見守っていて欲しい。   「Kai……この世で君に出逢えてよかった」 「ありがとう、俺も優也がいるから世界が変わった」    奇跡的な出会いは、いつどこにあるか分からない。  何もかも終わったと思い……沈んだ深海にすら、光は届いた。  だから……あの時諦めないで良かったと今は思える。  生きていれば、いい波も悪い波も次々とやって来る。  生きていれば、本当にこの先もいろんなことが起こるだろう。  きっと今後も波風は立つだろう。  でもそんな海を共に泳ぎ渡ってくれるパートナーが僕にはいるから、もう怖くない。     『向日葵に誓って』 了 『深海』完結 ※最後まで読んでいただいたお礼にスター特典(15スター)に後日談を一つ掲載してあります。タイトル→ その後の二人 『雨の七夕』。 こちらはエブリスタさんでしか現在公開していないSSになります。 お楽しみいただけたらと思います。 次ページに、あとがきを掲載しました。
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