季節の番外編♡ハロウィン・ハネムーン 12

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季節の番外編♡ハロウィン・ハネムーン 12

【R18】  いつになく優也の方からも、熱く積極的に俺を求めてくれた。  だから俺の方もパワー全開で、彼をどこまでも求めてしまった。 「あっ……あぁ、また出てしまうっ」 「今日はいいんだよ。もっともっと乱れても」  優也の硬く張り詰めた先端は、またぐっしょりと濡れていた。少し指で扱くだけであっとう間に弾けてしまうだろう。じらしていると優也自ら、俺の手をそこに導いた。 「ん……ここ……触って……僕にもっと触れて」  優也は俺の腹の下で、かなり色っぽく乱れていた。たまらないよ。慎ましやかな君が、そんなに喘ぐなんて。 「あぁ、もっと……」 「んっ」  ギュッと俺の背中に手を回してしがみつく仕草が可愛くて、その汗ばんだ額に軽くキスを落とす。  彼と付き合い一緒に住むようになって、気が付いたことがある。  優也は仕事中もオフも基本的に真面目で品行方正な青年だ。育ちがいい人なんだと思う。それは軽井沢でご両親の愛情をたっぷり受け健やかに成長してきた証だろう。ただ……持って生まれた引っ込み思案で内気な性質のせいで人と馴染むのに多少の時間がかかるが、一度交流を持てば、どこまでも深く優しい情を注いでくれる人だ。  恋人でありパートナーの俺にも、俺の父にも、従業員やお客様にも分け隔てなかった。  悔しいことだが……優也を初めて抱いた翔も、きっと優也のその部分を見出した奴なんだろう。だが彼は間違えてしまった。 優也の優しさに一方的に甘えるだけでは駄目だ。ましてその優しさをを利用してしまった時点で……何も育たなくなる。  俺は優也の優しさがもちろん好きだが、自分から何かをしたいと思う瞬間の彼がもっと好きだ。例えば情事の最中に……優也が自分が気持ちよくなるために、『して欲しい』と言うのには、かなりゾクゾクした。普段受け身な彼から求められることが嬉しくてたまらない。 「いいよ。もっとだな」  優也の細い腰を思いっきり抱え上げて、真正面から結合部分を摺り合わすと、濡れた結合部がグチュリと音を立てた。  もう何度目だろう。今日の俺は尽きない。果てない。もう……エンドレスのようだ。優也の乱れ方もいつになく凄くて、余計にソソラレル。  「あぁ──もう……またっ」  ブルブルと痙攣しながら優也がイクので、すぐに俺も追う。優也の快感を拾いながら、彼の躰の奥に入り込み、収縮を味わう。    俺たちは何て相性がいい躰なのか。  濡れて震える蕾に、また挿入する。そんなことを何度も何度も繰り返した。 「あ……ううっ」  喘ぎ過ぎた優也の声がハスキーに枯れて、それがまたセクシーで、また抱いてしまう。  やがて障子の向こうが白く光り出した。  もう、夜明けか── 「Kai……夜が明けるね」 「悪い、結局朝までやっちまったな。随分と無理させたな」 「いや……大丈夫だ。僕も良かったから」  優しく微笑む優也の顔には流石に疲労の色が見えたが、満足そうに幸せそうに笑っていた。 「立てる? 風呂入ってさっぱりしよう」 「うん、何とか。まさか夜通しするとは……君はタフだよ」 「優也は先に仮眠しておいてよかったな。あとは新幹線の中で眠るといい」 「そうだね。そうさせてもらおう。久しぶりの帰省だから楽しみだよ。君とふたりで行けるのが、何より嬉しい」  彼の優しさは何気ない言葉にも溢れている。だから俺はいつも心が和むよ。 「うはっ、それにしても派手に汚したな」 「う……どうしよう」 「洋がいるから大丈夫だよ」 「なんだか……恥ずかしいな。こんなことまで洋くんに世話になるなんて」  白いシーツを剥がすと、申し訳ないがだいぶ汚れていた。だが、これは想定内で、洋に後処理を任せる段取りもつけてある。  そのまま優也に、浴衣をもう一度きちんと着せてやった。 「へぇ……君は日本の文化にも詳しいね。浴衣……僕よりも上手だよ」 「優也の国のことなら、何でも知りたいから、沢山学んだよ」 「ありがとう。そんな君が好きだ。あぁそれにしてもせっかくのタキシードも、台無しだね」  畳に脱ぎ散らかされたタキシードと仮面には、苦笑した。俺としたことが、どうしてハンガーに吊るさなかったのか。元コンシェルジュ失格だ。 「俺も昨夜は……かなり余裕なかったみたいだな」 「Kai……あの、改めて昨日はありがとう。昨日は翔と会う機会を作ってくれて。アイツ……幸せそうだったので、ホッとしたよ」 「もう大丈夫だろう。もう完全に吹っ切れた? 」 「あぁ、ごめん。やっぱり心配していたのか。僕はもうKaiのことしか考えていないよ。昨夜は……君に抱かれることばかり考えていたので、その……日頃の欲求不満が解消されたよ」 「優也の口からそんなことを言ってもらえるなんて!」  さっきから可愛いことばかり言ってくれるので、思わずムギュっと抱きしめてしまった。そして嬉しさのあまり、優也の頬をペロペロなめてしまった。 「ふふ、君はなんだか大型犬みたいになる時があるね」 「ワンコでもなんでもいいさ、優也の傍にいられるのなら」  優也を求めすぎないように、優也の優しさに甘えすぎないように……自分を律していたが、どこかで優也を抱き潰したい、朝まで抱きたいとか、前の男の影がチラつくから……いっそもう一度会わせて、この目で別れを確かめたいとか、そんなことばかり考えている駄目な男だ。 「Kaiと僕は一生を共にするパートーナーだ。ハロウィンパーティーも楽しかったが、こんな風に静かな寺で愛を重ねあうのもいいね」  改めて抱擁しあった。  愛しい人。慈しみたい人……そんな人と運命の出逢いをしたことに感謝する。 「僕は夜明けが好きだ」 「あぁ俺もだ」 「前向きな気持ちになる。今日という日はまだ何も起きていないから、どう過ごすかは僕達次第だね」 「その通りだ。さぁ風呂に入ろう。よーく洗ってやるよ」  優也と手を取り合って隣にある浴室の扉を開けると、そこにはまた新しい出会いが待っていた。  見知らぬ若い青年が裸で立っていたのにも驚いたが、すぐに彼を庇うように騎士のように男が現れたのには、更に驚愕してしまった。  宗吾さんと瑞樹くん、そして宗吾さんの息子の芽生くん……    改めて洋に紹介してもらい、なるほどと合点した。  彼らは洋が夏に出会った友人で、俺たちと同じ種類の愛を育む人だった。まだまだ理解されないことが多い世の中だからこそ、こういう人の輪って大切だ。縁があって出逢った人たちは財産だ。 「Kaiも優也さんも、満ち足りた顔をしているな」  洋が俺たちの顔を見比べて、嬉しそうに呟く。 「幸せって連鎖するみたいだ。今日この寺のメンバーは、みんな朝からいい顔をしているよ」 「ありがとう。洋。あっ約束通り、シーツ洗うのよろしくな」 「ははっ、うん、いいよ。熱い夜を過ごせたようで何よりさ。ハネムーンだもんな」 「そういうことさ!」  洋の明るい笑顔につられて、俺たちもまた笑った。それから和やかな朝食。新幹線の時間があるので長居出来なかったが、心から寛いで楽しく歓談した。  北鎌倉の古寺で、俺と優也は愛を重ねた。  いつもよりずっと深く、長く……  いい夜だった。いい旅だった。  ハロウィン・ハネムーン。 **** 「さぁ次は優也の実家に帰省だ。軽井沢の秋を楽しみに行こう」 「皆、待っているよ。君のことを」  新幹線の車窓に、あの日、祈りながら軽井沢に向かったことを思い出す。  あの日があって、今がある。  俺たちは過去を恥じない。  過去があって今があるのだから。 「優也……少し眠ろうか」 「そうだね。流石に眠たいよ。躰もまだ怠いし……」  俺たちは無言で手をそっと繋ぎ、指を絡め合い、その上にコートをかけて眠りに落ちた。お互い寄り添って、優しい秋の日差しを浴びながら新幹線の揺れに身を委ねた。  窓の外の紅葉は、軽井沢に近づくにつれて濃くなり、秋が満ちていく。   俺たちの恋も、ますます満ちていく。 『季節の番外編♡ハロウィン・ハネムーン』 了 **** 志生帆海です。『深海』の番外編を読んで下さりありがとうございます。 いかがでしたか。彼らの深まる恋を少しでもお伝えできたら……と思い、毎日連載してみました。ちなみに最後の方に出てきた風呂場でばったり会ったのは、別途連載している『幸せな存在』の登場人物です。あちらでも逆視点でこのシーンを書いています。
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