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さよならの行方 4
躰を突き抜ける鈍痛で、はっと目が覚めた。
「いっ……痛っ……」
慌てて見回すと辺りは真っ暗で、肌を直接撫でつけるひんやりとした風を感じた。つまり僕は服を身につけていないのか。でも何故こんな姿に?だが考える間もなく僕の上には重たい人の躰がのしかかっていて、蠢いていることに恐怖を覚えた。
「うっ…」
更に脚がまるで修学旅行で皆がこっそり観ていたAVビデオの女優さんみたいに大きく左右に割られていたことに、喉が詰まるほど驚いた。感覚を辿ると誰にも触れられたことのない部分に、見知らぬ誰かの指が深く侵入していた。
「ひっ!」
脚を閉じたくても、間に誰かの躰があるので叶わない。相手は大柄な男だ。僕の剥き出しの腹に相手の高まった固いものがあたっているのを感じ、背筋が凍る。
僕の下半身には何かオイルのようなベタつくものが大量に塗られヌルヌルと濡れていて、あり得ない場所に指を抜き差しされる度に、耳にはクチュクチュと卑猥な水音が届くので激しく動揺した。
な……何だ?
状況が呑み込めない。頭の中がパニックで真っ白だ!僕は会社帰りに居酒屋で翔と飲んでいたはずなのに、ここ何処だ?そしてこの男は一体誰だ?
このままでは、とんでもことが起こる。貞操の危機を察知し、死に物狂いで暴れた。
「もうやめろっ!離せっ!嫌だぁぁー」
だが相手の方が体格的にも体力的にもずっと上だった。暴れたことにより逆に押さえつける力が強まり、グイっと腰を進められてしまった。
「うわっ──」
とんでもない痛みが躰を貫き、下半身に強烈な熱と痛みが広がって来た。
「うっ……うっ……」
衝撃で見開いた目からは涙がどっと溢れた。ただただ痛かった。怖くて躰がガタガタ震える。なのに……躰の中心は、熱い棒で貫かれたように熱かった。燃えるような痛みで満ちていた。
「ひっ……」
もう絶望的だ。僕は男なのに男に……恐怖に顔を引きつらせガタガタと震え、最後の力を振り絞りありったけの力で躰を揺すると、覆いかぶさっている男が耳元でそっと囁いた。
「優也……ごめん。落ち着け、俺だよ」
二度目の衝撃だ。
「えっ!こっ……この声は翔なのか……なんでお前が……こんなことを」
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