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第五話 教頭先生
中村校長先生の感動的なスピーチの後、古都教頭先生がマイクの前に立ち、
「皆さん、中村校長先生のお話、いかがでしたか~?」
と、全校生徒に問い掛けた。「よかったで~す♪」、「最高で~す♪」、「人生に活かせそうで~す♪」と、生徒たちの声が飛び交った。
「そうですね~! スポーツ選手に限らず、私たちの日常において、所謂、緊張して、固くなって、いつもの実力が発揮できなくなるような場面でも、応用できそうな、リュックを下ろすイメージトレーニング。常々、心掛けて、活かしていきたいですね~! 感動のスピーチでした♪」
教頭先生がそう言うと、舞台の右側へ上がる通路の入口を向いて、誰かに軽く頷いて、何かを促した。
すると、その入口から、赤井生徒会長が大きめのお盆に伏せられた額縁を、厳かな雰囲気を醸し出しながら、運んで来た。
教頭先生のところまで赤井さんが運ぶと、教頭先生は、お盆の上の額縁だけを伏せたまま受け取り、講演台の上にそっと置いた。
「中村校長先生の、名スピーチに感動し、つい先程、職員一同、PTA会長及び役員の皆様、赤井生徒会長及び役員メンバーにより、『校長先生』の呼び方を改めることが、緊急会議で決定されました!」
何だか急に、菅官房長官が、新元号『令和』を発表する瞬間のような緊張感に、会場全体が包まれた。
「校長先生の新しい呼び方は、『"こうちょう"先生』であります!」
教頭先生はそう言うと、静かに額縁を、自身の右側に、高々と掲げた。
みんなが、一瞬、「んっ?」、となって、ジ~~~ッと眺めた、その額縁に書かれていた、その文字は?
ー 『好調先生』 ー
「……なんつって♪」
教頭先生の一言で、全員ズッコケた♪
全校挙げての、この柔らかい雰囲気の応援を胸に、僕たち野球部、準々決勝もリラックスして臨めそうだ。
『赤井さんに恋をして~Season3~』
超・妄想コンテスト : テーマ『人ごみ』
2019(令和元)年8月25日(日)〆切
応募作品
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