夫の名前も知らないのに初夜

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「そっ、と出て行ってどうするの?きちんと挨拶をすべきよ」 「ややこしいことになるよ?時間の無駄だと思うけどね」 「あなたにとっては実の両親でも、私にとっては婚家なの。私はこれから一切の不手際を許されない立場なのよ。伊達家の嫁として、二条家の娘として、立場をわきまえながら行動しないといけないの」 きっぱりと言い切る菜乃花に「君はそういう人だったの?自分は自分だと思わないのか?」と新郎は聞く。 「思わないわ。私は立場をわきまえつつ、あるべき自分の姿を模索したいの」 「そうか」 新郎は言った。 「では、戻るか。戻って挨拶をしてから行こう」
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