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菜乃花は手を引かれ、歩きながら新郎を観察する。
黒髪の艶やかさ……量はかなりある方。
首は頑強そう……肩の鋭角さ……黒いスーツを着ているが、腕は盛り上がって見える。衣紋掛けでも入っているかのように姿勢が良い。背中に無駄な肉がない。燕尾服の隙間から見える小尻はプリッと上がっていて引き締まっている。足は日本人離れしていて長い。
（あのゴリラ遺伝子はどこに行ったのかしら。お母様がよほど美しいのね）
が。
「……」
“失礼します”と母屋に入り、伊達家の両親に顔面で向き合う。
（ぜ、全然似てない！！）
「どうなさったの、漣磨さん」
（お母様はおたふく顔だわ！ということは新郎はゴリラとおたふくの間！）
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