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《心配だから》
翌朝、早朝。
最近ではアラームよりも先に目が醒めるようになった敬大。
「……」
(よかった、いた)
目の前には壁の方に向いて眠るあずまの姿。
ほっとする。
昨日は焦った。
起きたらあずまさんが布団からいなくなっていた…
脱衣所にいたけど、あずまさんは時々、一人で考えて急に行動しちゃうから…
もし、あの時みたいに急に居なくなってしまったら…
そう考えると不安で仕方ない。
あずまさんが帰って来たら持たせようと思っていたもの。
SDカードほどの小型GPS。
やっぱり持っていてもらおう。
そっとあずまの鞄の底に袋ごと軽く縫い付け忍ばせる。
こんなことをするのは後ろめたいけど、俺が不在の時にいなくなられたらって毎日不安で仕方ない…
あずまさんに二度と辛い生活をさせたくないから。
お守りがわりに付けさせて、あずまさん。
GPSをつけ終えて、鞄に中身を戻す際、目に入った一通の手紙。
『遺体を発見してくださった方へ』
「えっ?何これ…」
あずまの字で書かれた手紙のタイトルは、興味を引くには充分な語羅列。
「……」
手紙に封はされていない。
勝手に読むのはと思ったけれど…
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