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《大好きなひと》
「逢いたかった…あずまさん」
「……探して、くれていたのか?」
「当たり前だろ!公園で待ってるって言ったのに、嘘つきッ」
両肩を掴みながら勢いのまま伝える。
「…あぁ、すまなかったな、探してくれているとは、思わなくて」
困惑して、視線を彷徨わせる。
「探すよ!!この三年間、忘れたことなんかなかったんだから!」
まっすぐに見つめる瞳…
「…どうしてそこまで…」
敬大の温かさに触れながらも、これが現実のことと受け取りきれなくて、呟いてしまう。
「俺、あずまさんが好きなんだ!一緒に居たいんだ」
「…敬大くん、」
「ていうか、なんだよこの金ッ、金だけ置いて行って…、持ってくるなら直接渡しに来いよ!!」
「うん、私の自己満足だった、覚えていてくれて嬉しかったよ、ただ、私が敬大くんのもとにいけば迷惑をかけることになってしまうから」
「迷惑なんか、かかるわけ無いだろ!」
「敬大くん」
「また、こんなに痩せて…この金で肉食えよ、何でこんなこと…」
ラーメン一杯を渋るほどだったのに、
一万も貯めるにはどれだけ苦労したのか…
「恩をいつか、返したかったんだ。私にとってきみから受けた優しさは、一生忘れることができないものだったから」
「じゃ、何で出て行ったんだよ…」
「……」
「さ、うちに行こう、シャワーしましょ、また髪も髭も綺麗にしてあげますから!」
「いや、もうあの部屋にはいけないよ」
「なんで!」
「あの部屋は、敬大くんのご両親が敬大くんの為に借りた部屋だから」
「そんなん関係ない」
首を振り、必死に否定する。
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