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3 運命の日が訪れた。なんの前触れもなく、突然に。
だが運命の日が訪れた。
初めて持田さんにプライベートな予定で呼び出された。なんの前触れもなく、突然に。
待ち合わせの場所に指定されたのは、出来立てホヤホヤという感じの綺麗な一軒家の前だった。現れた持田さんは、げっそりとしている。
「大丈夫ですか。なんか今にも死にそうな顔してますが」
「やばい。もしかしたら私、殺されるかもしれない」
「どういうことですか」
この一軒家は、例の披露宴をやったバレー部の先輩が住んでいる新居らしい。招待されたのは良いが、訪問直前になって、先輩は急な仕事で出かけるという連絡があったそうだ。
「日を改めようって提案したのに、どうしても奥さんが今日会いたいから来てくれって。怖くないか。これ絶対に、私ヤバイだろ」
つまり持田さんは奥さんと二人きりになるのが怖くて、僕を呼び出したということらしい。
「大丈夫ですって。そんな披露宴に雨が降ったぐらいのことで、殺されるわけないでしょ」
「披露宴の途中で出てきちゃったんだよ。晴れの舞台を台無しにした張本人が逃亡とか、そりゃ殺したいぐらい憎んでいても仕方あるまいよ」
「いやいやいや、そんな大げさな」
僕がいくら説明しても、持田さんは怯えた表情のままだった。
「ここでずっとこうしてるわけにもいかないですし」
仕方なく僕が代わりにインターホンを押した。
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