3 運命の日が訪れた。なんの前触れもなく、突然に。

1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

3 運命の日が訪れた。なんの前触れもなく、突然に。

 だが運命の日が訪れた。  初めて持田さんにプライベートな予定で呼び出された。なんの前触れもなく、突然に。  待ち合わせの場所に指定されたのは、出来立てホヤホヤという感じの綺麗な一軒家の前だった。現れた持田さんは、げっそりとしている。 「大丈夫ですか。なんか今にも死にそうな顔してますが」 「やばい。もしかしたら私、殺されるかもしれない」 「どういうことですか」  この一軒家は、例の披露宴をやったバレー部の先輩が住んでいる新居らしい。招待されたのは良いが、訪問直前になって、先輩は急な仕事で出かけるという連絡があったそうだ。 「日を改めようって提案したのに、どうしても奥さんが今日会いたいから来てくれって。怖くないか。これ絶対に、私ヤバイだろ」  つまり持田さんは奥さんと二人きりになるのが怖くて、僕を呼び出したということらしい。 「大丈夫ですって。そんな披露宴に雨が降ったぐらいのことで、殺されるわけないでしょ」 「披露宴の途中で出てきちゃったんだよ。晴れの舞台を台無しにした張本人が逃亡とか、そりゃ殺したいぐらい憎んでいても仕方あるまいよ」 「いやいやいや、そんな大げさな」  僕がいくら説明しても、持田さんは怯えた表情のままだった。 「ここでずっとこうしてるわけにもいかないですし」  仕方なく僕が代わりにインターホンを押した。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!