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「この手作りメダルだ!」
ディレクターは、丸く切った段ボールに金紙を貼った幼稚園児の工作のようなメダルをとりだした。
一同が言葉をなくす。
「山分けという事だから、メダルは二つに割って半分ずつにしよう。」
今全員の頭の中では、メダルを二つ用意するのではなくて真っ二つに割るのか?という疑問が渦巻いている。
さらに、これが本当に豪華賞品なのか?という不満もわきあがる。
「もちろん、豪華賞品というくらいだから、メダルだけではない。」
その言葉に安心する一同。
「この手作り賞状もあるぞ!」
手書きの賞状を高く掲げる。
全員の肩が落胆した。
「もちろん、山分けだ。二つに切るよ。」
ハサミを取り出し、とんでもないことを言い出した。
今、全員が思っていること___。
その1・いくら山分けで手作りとはいえ、賞状を二つに切ったりしていいのか?
その2・どこが豪華賞品だ!!(怒)
「なおもちろん、この二つだけが賞品とは言わないよ!こちらが本命……って、え!?皆さん!どうして帰るんですかー!!」
お前のせいだ。
皆は帰り支度をし、さっそうとテレビ局を出ていく。
どうせ今度は、手作りトロフィーを出すに決まってる!
全員の心は、一つになっていた。
そして参加者が帰り、ディレクターはあたふたする。
暗くなったスタジオで八枚のチケットをながめ、つぶやいた。
「まいったなー……。このチケット一枚で、かなり楽しめるのになー……。喜んでもらえると思ったのになー……。」
こうしてゲーム参加者はコミュニケーション能力のないディレクターのせいで、五つ星レストランで豪華料理を食べ放題のチケットという夢のような賞品を失った。
~Fin~
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