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プロローグ
グレーのアスファルトは真夏の日差しを吸い取って容赦ない熱を蓄えている。
都会の夏の過酷さは周知の事実だが、渋谷の夏となればまた別格だ。人間の密度と二酸化炭素の濃度が織りなすヒート・アイランド現象はまるでこれから催されるエブリスタ9周年イベントの熱気を模しているようでもある。
と、偉そうなナレーションをスマホに記録しつつ、渋谷駅に隣接するヒカリエの11階へ向かう私の筆名は秋月一成。初のイベント参加のため、妄コン結果発表である水曜日の午後5時前にも似た、じりっとした緊張感を伴っている。
エブリスタのイベント開催は以前にも通知があったが、仕事の都合によりその聖地?へ着くことはままならなかった。
今年は運良く夏季開催ということもあり休暇を貰え、拙作「フィーネの旋律」が執筆応援キャンペーンで大賞を受賞できたこともあったので参加できたらと思っていた。チケットは飛ぶように売れたようだったので、ゲットできたのは幸いだった。残り定員数10名を切ったところだった。
というわけで。
――秋月、行きまーす!
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