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ナツイチよ永遠に!
皆様おはようございます!⏰
土曜日の朝にけっこう閲覧されているエッセイなのでたまにはこちらの挨拶にしました。
今年の夏はいちばん暑かったですが、いちばん熱い夏といえば――そう、エブリスタには「ナツイチ」というコンテストがありましたよね。
昨年と一昨年は恋愛短編部門があって、昨年はフォローさせていただいている作者様でおふたり、受賞者がいらっしゃいました。
佐藤うさぎさん、百道みずほさん、出版おめでとうございます!
ちなみに受賞作品のうち百道みずほさんの作品は既読でしたが、佐藤うさぎさんの作品は読み途中で受賞の発表となりました。そこで最高のクオリティで読ませていただこうと思い、本の発売を心待ちにしておりました。
その作品集がついに発売になりました。ヽ(=´▽`=)ノ
お迎えせずんばおられんばい。(いきなり縁もゆかりもない方言)
この表題は、佐藤うさぎさんの受賞作「Love Letter」を改題したもののようですね。
エブリスタの新刊のお知らせで、紹介文にはこう書かれていました。
『国境を越えて運命の再会をしたふたりを、残酷な現実が引き離す――。
婚約者との関係に悩む花南は、第二の故郷であるオーストリア・ウィーンを訪れる。
カフェで偶然、ウクライナ人の幼馴染・ユーリィと再会し、
数日間ともに過ごすうちに惹かれ合うふたりだったが、ロシアによる軍事侵攻が始まり……。
(表題作)など、全4作収録。』
こちらも佐藤うさぎさんの作品の内容のことでした。なお、同じ紹介文が裏表紙に書かれていました。
そしてこの作品、「恋するヒマワリ 青空と自由の国から、この絵をきみに」を読ませていただいたところ――。
(´;ω;`)ブワッ となりました。
一見、戦争ものの作品に思えるのですが、おもな舞台は日本の現代社会です。
どんな話かと言いますと――。
主人公は女性で、親友の女性の婚約がおじゃんになったと耳にする。その原因は別の男にお金を貢いだことらしい。そしてその親友と飲みにいき理由を問いただすと、ウクライナに初恋の相手がいて、大人になってから再会したとのこと。その後も時々連絡を取っていたが、戦争が始まって連絡が途絶え――。
――と、普通に解説してもなかなか作品の魅力は伝わらないと思います。ごめんんなさい、佐藤うさぎさん。
ちなみに物語の主人公は恋愛の当事者ではなく、その親友であり話の聞き手役なのですが、この主人公が面倒見が良くて情が厚く、よき理解者として恋愛の当事者である親友にとことん付き合っています。
この人物がなんとなく作者様のイメージと重なるんですね。
ところで婚約している親友が他の男性に会いに行くというのは、世間的には不貞を働いてるように思えますが、読み進めていくと全然そんなことはありませんでした。むしろ婚約者のほうの本質を知ってしまうと、純粋で透明な国境を越えた恋のほうを心から応援したくなりました。
それに親友の初恋の相手であるウクライナの男性が、これまた見た目も内面も王子様なんですね。日本人男性にないまっすぐな魅力満載で、引き込まれるのも戸惑うのもわかるなー、って思いました。
しかもこの作品、ウクライナ侵攻が始まってから起きた現実が反映されていますし、戦争に対する怒りと平和への願いが込められている作品でもありました。そういった意味でナツイチのような年ごとに行われるコンテストとしてタイムリーな作品なのではないかと思いました。
さらになにより文章表現が豊かで圧倒されましたし、海外の文化に関する引き出しが多くて勉強にもなりました。
そして最後に表題にあるヒマワリの絵が出てくるのですが、ここに込められた意味はほんとうに感動的でした。
ブワッ(´;ω;`)アゲインとなりました。
それから百道みずほさんの「地球最後の日」ですが――。
隕石がぶつかってほんとうに地球が滅亡する、ほんの数時間前からの話になります。
主人公は28歳未婚の女性ですが、そんな世界の崖っぷちでも意外と呑気でおっとりとしているひとでした。
そこで2歳年上の恋人(結婚の約束まではしていない)と最後の時間を過ごすのですが、その過ごし方はなにげない日常の一幕とさして変わりませんでした。そんな平凡な毎日の中にある幸せを感じさせるような、温かみのある作品でした。
地球最後の日に食べる、パリパリサクサクのクロワッサンが美味しそうでしたね。
これらはエブで原作が読めますから、出版にあたりどんなふうに手直しされているのか、比較して勉強してみたいと思います。
★
ところでナツイチの応募って、毎年締め切りが秋頃でしたよね。
「今年はやらないのかなぁ?」 と思われていた作者様、たくさんいらっしゃると思います。
結論としては今後もうやらないのではないかと思います。
出版社としてのメインディッシュは長編部門ではないかと思うのですが、昨年および一昨年は大賞が選ばれていませんでした。そうなると出版社の方は骨折り損の選考になってしまったに違いありません。(それどころかエブや下読みさんへの支払いの分がマイナス?)
応募される作品には良質な作品もたくさんあると思うのですが、2年連続で書籍化作品の該当がないとなると、出版社はエブリスタ運営がピックアップしてくる候補作品に不満を持っているかもしれません。
けれどそれ以上に、以前の受賞作品に対する出版社の販売戦略はもったいないなぁと思いました。受賞作品があまり話題にならなかったのはそこなんじゃないかと思います。
ナツイチ大賞作品は、ナツイチのイベントで売られるとは言っても、数多の本の中にぽっと置かれているだけです。一昨年、書籍化された受賞作品が太宰治などの文豪作品(表紙は文豪ストレイドッグスの絵)から圧を受け肩身の狭い思いをしていたのを思い出します。(←私見です)
そんな売り方では、誰が買おうとするものか、いや買うはずがない。(反語)なので出版社が「大賞作品」といって別個に売り出せば、もっと売れて次のコンテストにつながったのかも、って思えてなりません。
というわけで、受賞作を出版したのに販売アピールが足りない。結果、思ったほど売れない。だからその次は「絶対売れそうな作品」を発掘したい。けれど候補に選出された作品に「絶対売れそうな作品」はなかなか見つからず、大賞を選ぶに選べない。結果、受賞作品はなしとした。それが2年連続だった。
みたいな感じではないのでしょうか。(個人の憶測によるものです。良い子は鵜呑みにしないでね)
そうなるとナツイチにはもう、次はないのでしょう。妄コンのお題「夏の終わり」ならぬ、ナツイチの終わりとなったもようです。
恋愛短編部門は多くの作者様が最終候補に選出されておりましたので、今年も開催を楽しみにしていたんですけどね。残念です……。
というわけで――。
ありがとうナツイチコンテスト! きみのことは忘れない!
という叫びで本日は締めくくりたいと思います。
★次回の更新は1日遅れで、11月5日 日曜日の0時0分になります。★
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