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おばちゃんの驚きの声と同じタイミングで私は辺りを見回した。幸いなことにあたりが暗くなっただけで実害はない。大きな窓から見える空は急に夜が来たかのような真っ暗な静寂に包まれていた。
テレビ中継が空の映像へとぷつりと切り替わり騒ぎ出す。
ドラゴンだ。直感的にそう思った。まるでRPGにでも出てきそうな大きな大きな生き物が空を覆い隠している。その全ては見えないのけれどきっとドラゴンだと私は思った。
あの太く長く揺れている尻尾を振り回すだけで都市が1つ滅ぶかもしれない。
しかし、人間側にも少しだけ攻撃の心得があった。日曜の朝に見たことあるような、半分半分のライダーや合体ヒーローが勢いよく飛び出していく。
少し前の人類は知らなかっただろうが、地球上に本当にライダーやヒーローは居たのだ。私たちはそれを既に知っていたので安心して観ることができる。
「あんな怪物が現れるなんて。本当に明日世界が終わってしまうんだね。1年前は彼女達のおかげで乗り切ったのに」
おばちゃんの言葉に合わせるように、中継では空にひときわ目立つ4人の少女達が翼をはためかせて登場していた。
黄色や水色、緑色や紫などのカラフルな髪と衣装を身にまとって舞う。
私は思わず呟いてしまう。
「メルクリウス、マールス、ユーピテル、サトゥルヌス......」
それはかつての仲間の名前だった。
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