在るべき処。

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 叢雲を見送った一刀と錦は、後宮へと戻って来た。錦の私室にて、一先ず落ち着いた処で。 「叢雲殿、又遊びに来てくれるよね」  錦が笑顔で、一刀へそう話す。一刀は溜め息だけで答え、興味無いとでも言うように脇息へ身を預ける。だが、錦は照れているだけだと、表情を和らげた。 「其の時は、もう一人の錦とやらを連れて来るのだろう」  そんな事を溢した一刀。錦は此れに、少々考え込む様な、複雑な表情を浮かべている。そして。 「其れじゃ、中々会えないかも知れないよ……もう一人の私だろう?引きこもってたら、どうするのさ」  此の言葉に、一刀は思わず吹き出した。 「彼奴も、随分な難題を持ち帰ったことだな」  込み上げる笑いを堪える一刀の様子に、錦は顔を真っ赤にして不快感を表している。 「し、失礼だよっ!」  一刀は、御立腹の后妃の腕を引き、宥める様に抱き寄せた。一つ深く息を吐き、取り敢えず笑いをおさめて。暫く膨れっ面で、そっぽを向いていた錦だったが、ふと一刀の腕の中より、其の顔を見上げる。 「あの、さ……もう一人私がいたら、一刀はどうする?」
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