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一方の、帝の執務室。帝、一刀は、何時もの如く多くの公務をこなす。書類へ筆を走らせていると、其処へやって来た側近の雪代が御前にて拝をする。
「――帝。本日は民が拝謁を願い出ておりまする」
一刀は、筆を走らせつつ。
「ああ。本日であったな……此れを仕上げ、向かう」
「はっ」
執務に、粗方の区切りを付け謁見の間へと向かった一刀。今回は、民の謁見である為、陽炎と白夜も共に部屋に入る事となった。部屋にて待っていたのは、瞳以外を薄絹で覆った男が一人拜をしている姿。顔を隠す等奇妙な、とそんな印象を抱いた一刀であったが、個人的事情もあるのだろう。敢えて、顔を見せろとの声は掛けなかった。上へと座すると、一刀は拜をしたままの男へ口を開く。
「面を上げよ」
許しを得て、其の男は徐に頭を上げた。すると、男は命じられてはいないが顔を覆う薄絹を徐に取り去った。露となった其の容貌に、声無く目を見張る一刀。当然、其の両側にて控えていた陽炎と白夜も反応は同じく。
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