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「其の容貌で、御所の外へ出られるのは困る。調査が済む迄、そなたの身を此処で預かりたい」
そんな言葉が一刀より出たのだ。少し表情が和らいだ叢雲。本当に、一刀とは真逆で表情が豊かだ。
「此方に、泊めて頂けるのですか……?」
「其の代わり、動きは制限させて頂くが」
続いた言葉は、少々不穏なもの。叢雲は眉間へと皺を寄せた。制限とは、どれ程のものなのか。一刀は更に続ける。
「食事等は勿論提供致す。御所の奥にある部屋を一つ宛がうので、庭以外出ない様にされよ」
其の条件は、やはり不穏だ。
「軟禁ではありませぬか……!」
民へ、其の様な仕打ちをするのかと些か険しい表情を見せる叢雲。其の顔は、一刀が怒りを見せる時と全く同じだ。控えていた陽炎、白夜が驚く。しかし、一刀はやはり眉ひとつ動かさない。一刀が僅かに表情を変えたのは、叢雲の容貌を見た其の瞬間のみだ。
「理解頂きたい。そなたも、此処へ此の様なものを持って来たのだ……ある程度の覚悟はあったのでは無いか」
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