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この日の夕食は家族が揃い、ベアトリスの心は弾んだ。両親はふたりで公務で出かけてしまうことがあり、ベアトリスはいつも留守番だ。城内には他のものもいるが、家族と一緒に居られる時間がベアトリスは好きだった。目の前のおいしそうな料理に手を合わせてから、両親に笑顔を向ける。 「あのね、今日学校のかけっこで一番になったのよ」 国王は頷いて、微笑む。 「すごいじゃないか」 「でしょでしょう!でも、アーサーったら運動したら怪我するかもしれないって言うのよ」 ベアトリスは嬉しそうに頷いてから、少しむくれてみせる。 「ふふ、もしかしたらアーサーの心配性は親から譲り受けたのかもしれないわね」 王妃の言葉にベアトリスは確かにと頷く、アーサーの母もベアトリスを見かけると、いらぬ心配をしてくる。木登りをしていた時に面白いくらいに真っ青になった彼の母親と、アーサーを思い出してふたりとも同じ顔をしていたと、思わずくすくす笑った。
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