遊んで儲ける無責任政党鴨?

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その様子を見た湯田は、また何か誤解させてしまったらしいと悟った。彼女は真面目過ぎるのかも知れないと思った。 日本共生党の「政策綱領草案」にはこう書かれている。 「国民主権の確立、基本的人権の確保、個人の尊厳の尊重」という3つの基本理念と、それに基づいて「自由で開かれた民主国家」の構築と「平和主義」の徹底を図る「世界とアジア諸国との連帯の強化」を目指すことが基本方針である。 さらに「国民の総意を結集し」国民が安心して暮らすことができる社会の実現に努める、と書かれている。これは国民一人一人の力を信じて「国民自身が自分たちの生活を守っていこうとする機運を高める」ことであるという。具体的には選挙における「一票の力の可視化」であり、投票を棄権した有権者の投票行動を集計するシステムを2020年までに整備することなどが盛り込まれている。このシステムの導入により国民主権を確立するのが狙いである。 日本創生党の政策綱領草案には「国民主権の確立、基本的人権の確保、個人の尊厳の尊重」は謳われていない。「自主的で誇りある政治」、「国民の合意に基づく政治」、国民の「信頼関係の回復」と並んでいるだけだ。具体的な内容は書かれていない。つまり責任追及よりも無責任な野党を批判することに終始しているのだ。しかも「無責任な野党を野党にとどめておくことです。これが大事なのです」と言っているのだ。無責任な政権を選ばないで済むための無責任野党を選ぶ、というのは何の解決策にもなっていない。 だが、そんなことを議論するつもりは永田にはないようだ。日本共生党代表・永田正人は言う。 「無責任野党はどこを批判しても責任野党以上のものにはならないんですよ。責任野党を選ぶくらいなら、無能な与党を選ぶ方がいいですよね。それが民主主義の原則ですよ」と。 そして永田は続ける。「でもそんなこと認めたくないじゃないですか。でも、認めるしかないんです。無能であるのを認め、そのことによって無責任な責任追及から身を守る、そういう発想こそが日本の未来を切り開くと思うんですよ」 『でも先生は湯田党首は責任野党の存在意義を認めていると言うけど……』 と情弱が反論を試みると、 「いやそれはもちろんそうですが……」永田正人は口を濁らせた後、続けた。 「まあそれはあくまでそれが必要な場合です。でも今はまだ必要な段階に至っていません。我々はまだ本当の意味での無責任野党にはなっていません。つまり我々の存在価値はない」 『それはつまり?』 「我々は野党で居続けること自体が重要で、それは『真の民主主義』の実現にとって必要不可欠なのです」 『無能であることが大切、と言うことですね』
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