2人が本棚に入れています
本棚に追加
本末転倒
「結局、こいつら詐欺ってるのよね。どう思う,情弱?」
狭間美子は腕組みをしてホワイトボードを睨みつける。政府も与党もダメダメだがそれに輪をかけて批判勢力もポンコツだ。
「何だかんだ言って遊んでるじゃないですか。こいつら。言葉遊びや屁理屈して飽きたら寝てりゃいいんですから結構な身分だ」
情弱が切り捨てる。
彼が送った質問状にはいけしゃあしゃあと述べている。
「責任のなすりつけとはそれは個人的なものであり、これは政府の責任ではなく、国民の正義、国民の権利です。責任のなすりつけとは国民の義務、責任のなすりつけは責任のなすりつけという意味ではなく、お金はなすりつけの「責任のなすりつけ」という意味です」(私の声・以下「お金のなすりつけ」より一部抜粋)としており、お金のなすりつけの問題についても含んではいるが、「責任のなすりつけの問題を国民が認め、責任のなすりつけの問題を政府が認めるということは全くおかしくない。このような議論や議論は無意味であり、国民がどのように責任のなすりつけを求めていても何の影響もありません」と反論している。
つまり議員というスケープゴートを擁立して「お前のせいだ」と言う国民こそ卑怯だというのだ。
「こっちの返答も似たり寄ったりよ」
ザマ美がプロジェクターを操る。腑抜けた回答が映し出された。
「今回の合意に至ったのは、お金をなすりつける、お金がなすりつける、政府がやめるといったことは全く問題ではないということです。責任のなすりつけ、国民の義務といったものは全く関係がありません。国民が責任のなすりつけをどのように主張していかなければならないか、何が必要であるか、どうすれば必要なのかが重要なのです」そういって、「国民自身の判断で責任を果たすのは当然のことです。ですが実質的には国民は責任を果たす必要がないのです。あなたご自身の意思でどうすればよいか決める事はできないとお考えです。これは法律で定められているのです。私が憲法や経済公庫の手続きを見ても全く何の影響もありません。国民が何を考えているのか、何をすればよいかは法律で決まっていきます。それが全てであり、その法律に従って国民として行動する必要があります」とした上で、「もしかしたら政府が全てを決める必要があるかもしれないと思うと思いますが、私の考えは私たちの国民に何も言わずに決めることはできないと私は思うのです」と続けた。
「これさぁ!」
情弱が珍しく声を荒げた。「お上が言う事だから……って何かやらかした後でしらばっくれる木っ端役人のいい分じゃね?」
「わたしもそう思うわ」
ザマ美は青筋を立てる。
「で、どうすんですかザマ美さん」
「決まってるじゃん。磯釣りよ」
彼女はそう言うと、何か秘策があるらしくノリノリで着手した。
「と、言うわけでぇ。こちら某【悪政】政党のまぁーる秘文書でございます」
パサッと広げたのは無責任万歳論が並ぶ文書だ。
「おおっ! こんなお宝が」
暴露系動画配信者は目を丸くした。
「お試しキャンペーン価格税込み三百万でいかがでしょうか」
彼女の提案に二つ返事を返した。ポチポチとスマホをいじる。
「おっぺけぺー♪」
ザマ美のアプリが叫んだ。
さっそく西北氏はコネをタコ足配線して日本打ち壊し党の
党首を招いた。国営放送を解体する代わりに民放各社に「政府枠」を義務付ける政策を提案している。
「しかし、永田正人氏は何を考えているんでしょうか?」
西北が語尾に草を生やす。
「じゃあ、コスプレやりますね」
党首も性格が悪い。ゴムマスクを着けて永田に成り切った。
西北がインタビューする。
――国民は責任のなすりつけを求めている?
しかし、現在の状況をみても、お金のなすりつけは国も政府も何の影響も与えていないという主張は全くありません。
どう考えても日本で国民の責任のなすりつけに直面すること自体が非常に危険で、これは当然のことではないですか?
――お金のなすりつけに関して何か意見はありますか
もちろん、この政府への批判もあるでしょうが、責任のなすりつけが認められたというのは間違いないのです。政府がどうお考えの結果「責任のなすりつけ」をしたのかわかりませんが、私が言っていることは事実です。もしそうであれば、お金のなすりつけ自体はあってはならないということです。私が言っていることは確かです」と述べて、「責任のなすりつけはあってはならない」という主張に納得いただけないと反論。
――お金のなすりつけは何を決めることもできそうにないほど重大な問題です。お金がなすりつけに関する議論は既にありますか。
私と一緒に、お金のなすりつけは法律の上でも問題が多く、そしてそれを国民が認め、責任のなすりつけをすることができればすべて解決するという法の動きがあります。お金のなすりつけに関して法律のあるべき姿を見つける事が必要だ、ということなのです。こういった議論で私たちが決める場合もあります。
――お金のなすりつけ問題は私たちが考えていることには全く関係がありません。
法の動きで解決できるわけでも、私たちがお金をいかなる方法で支払っているのかも全くわかりません。
お金がなすりつけ問題を裁判にかけて、裁判所に訴えることもできます。
お金を支払ってその後にどのように償えば良い(例:お金のなすりつけを行うのは自分のみ、という考え方)というのは法律の目的の一つで、法を執行することはできますが、それが政府(警察、検察官、裁判所)から国民へ受け渡すのは当然のことです。
――もちろん法の目的が法律ではなくお金だという考え方もありますが、それなら、私は法律的にお金を支払うのは憲法で決めとしていて、お金のなすりつけは裁判所で決まるので、行政ではなく司法の問題です。
それを聞いて西北はお腹を抱えた。
とどめの質問を投げる。
――つまり三権分立でなすり合っているというわけですね。
こらえきれず党首が覆面を脱いだ。
「ええ、そうなりますね」
二人が草を生やしている間にもチャンネル登録者数が増えていく。
「ザマ美さん、すごい事になってますよ」
情弱がおっぺけぺーの残高を見やる。
動画配信サイト「オレカテーテル」は即金をモットーにしている。
ザマ美は文書を売り渡す際に西北のパスワードをちゃっかり奪取していた。
おっぺけぺーには「おすそ分け」機能が付いている。
従ってザマ美の口座には広告収入の半分が入る。
「がっばがば、もう入れ食いよ」
最初のコメントを投稿しよう!