第24話〜百合の報告

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第24話〜百合の報告

 週が明ける。一回り成長し、大きくなった百合。航への想いも大きくなっていた。自分では気づいていない。  百合は、葵と舞に報告をするため誘う。終業後、居酒屋・古都。 「お疲れー!」 「かんぱーい!」  すかさず葵は聞いてきた。 「ユリ、どうしたの?ユリから私達誘うなんて。しかも古都。何かあったの?」  葵と舞はいつもと変わらない。変わったのは百合と航の関係。 「2人に報告があります…。」  百合は気合いを入れる。 「私、好きな人と、付き合うことになりました。」  葵と舞は驚き、2人は目を輝かせる。そして。 「イエーイ!」  二人はハイタッチをする。そしてハグをした。 「やったー!」  その後、葵は百合にハグをする。 「やったねー!ユリー!」 「ユリおめでとう!」  2人の迫力に圧倒される百合。 「あ、ありがとうございます…。」 「なーにー?ユリが喜ばなくてどうするのー?」 「ユリー!よかったねー!」 「はい、すごく嬉しい…です。」  こんなにも大きな祝福をされると思っていなかった百合。葵と舞に心から感謝をした。 「葵さんと舞さん、いつも私を励ましてくれました。それから私の背中を押してくれて…。本当に、ありがとうございました。」  報告を終えた百合はホッとする。葵と舞は、まだまだ目を輝かせている。 「私達は何もしてないよー!ユリの努力!」  二人の勢いは止まらない。増すばかり。葵は百合に聞く。 「ねえ!どっちから?ユリ?彼氏?」 「え?か、れし?」 「だってもう彼氏でしょ?で、どっちだったの?どっちが告白したの?」 「え?!」 「それくらいいいじゃーん!」  百合は2人に勝てない。顔を真っ赤にし、もう一度気合いを入れる。 「…これからどうするか、決めてもらいたいって言われて…。」 「それで??」 「…いっしょに…いたいって…言いました…。」  百合が落ち着く間もなく、葵と舞は叫ぶ。 「キャー!」  二人は肩を寄せ、手を握り合っていた。 「なんかいいー!『好きです』とか『付き合ってください』とかじゃなくて、なんかかっこいい!なんていうのかな…ロマンチック??」 「それー!『決めてもらいたい』…なんてかっこよすぎー!言われてみたーい!」  さらに葵は聞く。 「それで?」 「え…?」 「それから??」  舞も参戦してくる。 「その後、何かあった??」   百合は2人のテンションにも会話にも付いていけなくなる。 「あの…もういいですか…?私、限界です…。」 「じゃあ、他に言える範囲のこと、ある?」 「聞きたいなー、ユリの話…。」  2人の目はまだ輝いていた。困る百合は、大切なことを思い出した。 「あ…その日、花束をもらいました。百合の花束…。」  同じように叫ぶ2人。 「キャー!」 「やっぱりロマンチックー!」  2人の騒ぎよう。百合は聞いてみる。 「そうなんですか…?」 「そう!ロマンチック!そんなふうに言ってくれて花束まで…そんな人いないよー??」 「百合も純粋だし、きっと彼氏も純粋な人なんだねー!」  すると、ビールを飲んだ葵が思い付いたように言う。 「これからどうするか、ユリに決めてほしかった…。自分が返事を待つくらい…。」 「どうしたんですか?」  問い掛ける百合に葵は答える。 「すごい、いい人なんじゃないかなって思ったの、ユリの彼氏。自分を押し付けたりしないで、ユリのこと、ユリの性格、ユリの全部を考えられる人。だからそういう告白だったんじゃないかなって思った。」  すると舞も言う。 「確かに…ガンガン押し付けられたら、ユリ怖がっちゃいそう。いくら好きな人でも。そうじゃない?」  百合は答えに困る。思ったことを素直に言った。 「わかりません…。ずっとやさしい人なので、初めからずっと…。」  葵と舞はまた肩を寄せ合う。 「何この惚気。これから毎日聞かされるの?」 「えーそれきつい。毎日はやめてね、ユリ。」 「そんな…惚気なんかじゃ…。」  2人はいつものように優しかった。 「うーそ!言いたいこと、言いたい時にどんどん言ってね!」 「ユリの話、いつでも何でも聞く!」  百合は照れながら礼を言う。 「ありがとうございます…。」  葵は百合をじっと見る。 「ユリの彼氏…うらやましいなぁ…。」 「え?なんですか?」  舞が答える。百合の頬をつつく。 「彼氏はこんな可愛い顔がいつでも見られるんだよ?しかも独り占め!」 「え?え?」 「じゃあ、改めて乾杯しよ!ユリ!おめでとう!」 「かんぱーい!」  3人の宴が続く。
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