祇園さんと親友になるまで

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6時限目が終わって、祇園さんはクラスのみんなに挨拶して教室を後にする。教室では祇園さんは私に話しかけてこない。私がそうしてくれって頼んだからだ。 教室を出る瞬間だけ、私の方を見る。教室ではその時だけ、目が合う。 祇園さんは家が厳しくて門限があるから放課後の誘いもみんな断っていた。見た目からいかにもお嬢様だったから、仕方ないとみんな諦めていた。 私も帰る準備をして教室を出る。当然のように誰からも声をかけられない。私は空気のようにそっと教室から流れ出した。 図書室で最近はまっている推理小説作家の本を借りようと訪れるとここで一度も見たことのない田中君が新聞を読んでいた。 通り過ぎようとすると「九条さん」と声をかけられた。 「珍しいね」 そういうと田中君は押し黙った。 「待ち伏せしてたの?」 「ごめん」 田中君はすぐに白状した。 「また、あの女が十條と会ってるかと思うと美術準備室に行きにくくて、それで九条さんが図書室よく利用してるって山下が言ってたから」 しどろもどろな様子で話す田中君に私は言った。 「祇園さんは見間違いって言ってたよ」 「そんな訳ないよ。あんな目立つ女子見間違う訳ない」 そう断言する田中君を見て私もそう思った。 「じゃあ、今から確かめに行かない?」 私の提案に渋々と田中君は頷いた。 美術準備室の前で二人で立ちすくむ。 目合わせして田中君がそっと扉を覗けるほど開く。二人で凝視するが誰の姿もなかった。その後聞いたことのある笑い声が響いた。 「やっぱりだ」 そう田中君が呟いた。 美術準備室に入って隣の美術室を覗く。 そこには十條先生と祇園さんが楽しそうに談笑してる姿があった。 キスしてる姿はなかったが、十條先生の話に祇園さんが笑いながら聞いている。 私達はそっとその場を後にした。
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