秋の転校生

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「それ、リスが食べるやつですよ」 「げっ歯類はこんなおいしくないもの食べてるの?」 なぜか二つ目の種をボリボリ食べている祇園さんに「前歯伸びますよ」と言うと、「それは嫌かも」と言って笑った。 カレーパンの入っていた袋が5枚もある。カレーパンを五つも食べて、祇園さんはご満悦の表情だ。 「ずっとひとりなの?」 唐突に訊かれて私は祇園さんをにらんだ。 「中学からの親友がいたんですけど、夏休み前に転向したんです」 私はそれから隣を失ったままここにいる。 「この向日葵も親友と一緒に植えたんです」 でも、それはもう枯れてしまっていた。 「だったら、また、植えたらいいよ」 祇園さんは向日葵から種をとって私に見せた。 「こんなに種があるんだから、きっと来年の夏も咲くよ」 真っ白な手のひらの乗せられた種はなぜか輝いていた。私にはそう見えた。
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