05. レボリューション ver.Pink

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 そんな中、談笑もそこそこに部活動へ移動する者、ハンバーガー屋のクーポン検索に熱中している者、開放感で放心状態になっている者……皆、思い思いに試験明けを満喫している中、静かに佐倉くんを呼びに来た先生の存在に気付く。 「……」  軽く会釈しつつ、珍しく慌てて向かう様子から察するに件の評価をくだすための会合に呼ばれたのだろう。流石に佐倉くんから適性を評価する流れを聞いた時こそ驚いてしまったが、じっくり思い返してみれば合理的な評価方法だと認めざるを得ないとも思っている。 「(先生たち気付いてたのかなー。だとしたら、凄すぎる……)」  確かに佐倉くんの教え方は上手だった。  質問を投げ掛ければ、懇切丁寧に解説してくれるし、少しばかり逸れたとしても的確に答えを返す対応力も持ち合わせている。だけど、噛み砕いた表現だけはどうしてもレベルが高い状態のままのものが多い状況だった。 「(確かに、桃ノ木学園に入学するレベルで且つ桃ノ木学園の授業を受けているという前提条件があるならば、一切問題ないことなんだろうけどね……)」  非凡なエリート集団の中の凡人である私への指導力という名目が重要という話で確信を深め、大遅刻した際のペナルティー課題をレクチャーしてくれた時に気付いていた佐倉くんのウィークポイントの強化に重点を置く質問を繰り返していた。おそらく先生たちの評価の分かれ目がそこにあると確信していたからこそ、繰り返し繰り返し尋ね続けた。 「(今まで通り、がーんば……っ!)」  夢に向かって努力する人は嫌いじゃない。しかも、人を蹴落とすことを嫌い己の能力を向上させることのみ見据えて頑張る人を無視することなんて出来ないだろう。そっと心の中で佐倉くんにエールを送りつつ、私も教室を後にした。 《05. レボリューション ver.Pink / 了》
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