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06. レボリューション ver.Peach
***
「お疲れ、紫乃ちゃん!」
「もっ……百瀬、会長!?」
「紫乃ちゃん、本当よく会うねー。あまりにもシンクロしすぎてビックリするよー」
教室を後して、駅に向かう途中。不意に図書館に行きたくなり、移動していると……あまり会いたくなかった相手に遭遇し、うっかりため息を吐いてしまう。
「あれれ、紫乃ちゃん? 僕、一応先輩なんだけどね?」
曰くありげな眼差しを向けて、悪戯な声で語る仕草さえ様になるのは心底悔しい。そんなことを思いつつ、百瀬会長の無駄に美しい造りを愛でつつ、百瀬会長の言い分を黙って聞き続ける。
先輩からこういうニュアンスの叱責が来るならば、まず間違いなく不遜な態度を咎められる流れが大半だろう。だが、百瀬会長はいつまで経っても叱責する気配はなく、相変わらずにこやかに絡んでくる。
「ここはもっと敬うべきところじゃないのかな?」
「と言われましても」
「もっと謙るべきところじゃないのかな?」
「…………」
端正な美貌を持っていて、爽やかに語るからこそ耐えられないこともないとは言え、やはり茶番劇を延々と続けるなんて非生産的すぎるだろう。
「とは言いつつ、会長は実際そういうの求めていませんよね?」
「……あははは。流石、紫乃ちゃん!」
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