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「流石と言われましても」
「だって、生徒会長という役職を見て、媚びへつらう相手ばっかりだし。紫乃ちゃんの反応がとっても新鮮で……。だからこそ、紫乃ちゃんだけに求めてるんだけど」
そう言って、私だけが特別な存在と言わんばかりに牽制してくる。
確かに人を惹き付けてやまない溢れんばかりの魅力を持つ百瀬会長が特別であると伝えるだけで、舞い上がる子は多いだろう。私自身、百瀬会長に言われて心が動かないかと問われれば、全くないとは言い難い。とは言え、百瀬会長が特別に慕っている相手を知っているからこそ、一切舞い上がることはないだろう。
「ふふふ。ただの怖いもの知らずの馬鹿というオチだって、十分あり得ますよ?」
実際、私が百瀬会長と丁々発止やり取りするキッカケになった《椿の園》での出会いだって、迷子になることも厭わず突き進む行動力があった故の結果とも言えるだろう。どうやらそのことは百瀬会長自身も感じることがあるらしく……。
「へー、紫乃ちゃん。今日は調子が良いんだねえ」
否定は一切してくれなかった。
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