06. レボリューション ver.Peach

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「百瀬会長が非凡な人であることくらい、皆んな知っていますから。それに、非凡な人が凡人と同じ考え方をしていないことなんて、凡人からすれば想定内のことなんです。なので、ぐだぐだと悩まれるのは時間の無駄かと」 「……優しいけど、相変わらず手厳しいなあ」  私の言葉を聞いて、ふっと緩む百瀬会長の表情に釣られ、私の頬も緩みそうになってくる。そんな私をじっと見つめていた百瀬会長とバッチリ目が合い、お互い苦笑してしまう。 「とは言え、空気みたいという発言を大ぴらにしたら最後、総スカン食らう可能性は僅かですが残されてますので、慎んだ方が賢明と思いますけど」 「ああ、だろうねえ。僕だって、そんな男はドン引きだよ」 「あははは、百瀬会長でもそんなこと思われるのですね」  何だかよくわからない会話になってしまったが、百瀬会長が笑っているなら大丈夫だろう。とは言え、最後にこれだけはどうしても伝えておきたかった。 「ですが、別に心の中で思うくらいは自由と思ってますよ?」  私の答えが予想だにしていなかったらしく、百瀬会長は心底驚かれている。 そして、大きな声で笑いながら言われていた言葉はずっと忘れないだろう。 「……紫乃ちゃん。君、ホント最高だねえ」  そもそも、生徒会長に認められたいと願っているわけではなかった。どちらかと言えば、生徒会長が揶揄うターゲットから外れたいと願ったいたはずだった。だけど、蓋を開けてみれば、願いは全く別の場所にあったらしい。  その事実に気付けた瞬間、ずっと燻り続けていた気持ちが晴れ渡るような感覚で満たされていた。
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