21人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「百瀬会長!」
「なあに、紫乃ちゃん」
「私、百瀬会長のこと。嫌いじゃないですよ?」
「へ? どうしたの、急に?」
今まで散々釣れない答えばかり返していたからこそ、百瀬会長も疑心暗鬼になっている。百瀬会長が向ける訝しげな眼差しをにこやかに受け止め、一先ず主張を続けてみることにする。
「でも、それは百瀬会長が決して私のことを恋愛対象としてみていないからだと思ってます」
「え、え……。何、それ。新手の告白誘導とかなの?」
「違いますって、安心してください!」
百瀬会長の発言を聞いて、誘い受けと勘違いされかねない発言だったことに気付いたものの時すでに遅し。誘い受けと勘違いして盛大にテンパっている百瀬会長にあくまで軽くツッコミを入れて、丁寧に話を続けてゆく。
「私、どうしても高校時代に成し遂げたいことがあって、桃ノ木学園にやってきたんです」
「? それは今もすでに行ってるの?」
「勿論です。とは言え、大ぴらに語ると色々と問題も発生しかねないことなので、このことは秘密として墓場まで持ち込むつもりですけど」
最初のコメントを投稿しよう!