06. レボリューション ver.Peach

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*** 「それで、その目標を叶えるためには幾つもの弊害がやはり発生してしまうんです」  百瀬会長の心遣いが功を奏し、テンパってしまっていた頭もすっかり冷め、落ち着いて話すことが出来ている。百瀬会長の反応を確認しつつ、私は慎重に会話を続けていく。 「その一つが、私自身を軽く認識されてしまうということでしょうか。さりとて、問題がないと思っていたのですが……。先ほど、百瀬会長が掛けてくださった言葉から、随分とストレスが溜まっていた事実にようやく気付くことが、そして、向き合うことが出来ました」 「……」 「だから、先ずは伝えるべき相手に伝えたいことをバシッと伝えてから、百瀬会長にも改めて感謝を伝えさせていただきますね!」 「……なるほどね。さっぱり分からないけれど、何となく分かったよ」  百瀬会長は苦笑しつつ、私の主張を真正面から受け止めてくださる。そして、少しばかりセンチメンタルな雰囲気を醸し出しつつ、私の背中をふわりと優しく押してくださる。 「まぁ、先ずは伝えるべき相手に伝えておいで。話はそれからでも遅くはないよ、きっとね」  そう言って、私を快く送り出してくださる百瀬会長は分かっているのだろう。例え、全てを理解することは無理だとしても、ボカしている事実も、後回しにしたいと願う感情も、きっと百瀬会長なら気付いていることだろう。だからこそ、こんなにも……。 「がんばってね、紫乃ちゃん」  親身になって、温かい言葉を用いて応援することが出来るのだろう。
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