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「…………」
「つまり、全ては仮説なんだけど……紫乃ちゃんは落ちこぼれを演じてるんじゃない? 意図的に」
ポーカーフェイスを最も苦手としている私が、どこまで感情を隠し続けることが出来るだろうか。弱音も泣き言も全て呑み込み、生徒会長に向けて女優顔負けの笑顔で応戦してみる。
「賢い方は発想からしてスケールが違うんですね。第一、桃ノ木学園では私のことを賢いと考えてくださる先生すらいらっしゃいませんのに」
「……そういうとこなんだけどなあ。気付いてないのかな、本気で」
あああああ、つい本気出して語ってしまった口調を思いっきり疑っていらっしゃる……。ボソッと呟く生徒会長の意図が理解できるからこそ、笑顔で突っぱねることしか出来やしない。
確実にこれは分が悪い。
語れば語るほど、ドツボにハマる。策など一切用意せず、賢人の前に出向くことほど愚かなこともまたないだろう。
「ま、いいか。とにかくフェアじゃないと思ったから、紫乃ちゃんに伝えておきたかっただけだし」
「フェアじゃ、ない……?」
「そっ、フェアじゃないでしょ? 本人の与り知らないところで桃ノ木学園の権力抗争に巻き込まれるなんて」
「……なんですか、それ? それじゃあ、まるで「ブーブーブー……
初めて出会った日と同じバイブ音が二人の間に響き渡る。
桃ノ木学園の生徒会長という立場におられる人が、自由な時間を長々と持てるはずもないのだ。
「あーあ、タイムリミットみたいだね。という訳で、またね。バイバイ、紫乃ちゃん!!」
相変わらず軽いノリで立ち去る生徒会長の後ろ姿は無駄に爽やかなものがある。とはいえ、私に近付く意図が不明瞭な間は気が抜けそうにないだろう。
《02. ジャスティス ver.Pink / 了》
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