05. レボリューション ver.Pink

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「ふふふっ、なるほどね。それで非凡なエリート集団の中の凡人である私への指導力という名目が重要になったというわけね」  確かに特典がそういった類のものならば、凡人と認識されている私への指導を求める流れが生まれることも筋が通っている。そして、本人の能力との隔たりがある者への指導ほど、指導者として学ぶべきことも多いだろう。と言うことで、とても理に適っている教育方針を行なっている桃ノ木学園の指導方針に舌を巻くことはあっても、そのことを批判するつもりは毛頭なかった。だけど、佐倉くんの心は波立っているらしく……。 「実際、適正があると評価をもらいたい気持ちがないとは言い切れない。だけど、俺としてはお前が非凡である事実を知ってるわけで……。先生たちを欺き評価される道を選び続けていいのか悩んでいる思いもあったりして」 「……なるほどね」  私の微妙な底力に気付いているが故の苦悩としたら、何だか申し訳ないものがある。その教える必要性の是非から始まり、夢の実現への足かせにすらなりかねない状況に陥っていると知って、見てぬふりなんて出来ないだろう。 「ところで『非凡なエリート集団の中の凡人である私への指導力』なんて、どういう項目で判断するの? 凡人と認識している相手の伸びしろ(点数)で判断するような味気ないことなんてしないでしょ?」 「ああ、点数ではない。課題プリントの中から無作為に選んだ問題の解説方法を見て、とのことだったけど……」 「へえ、かなり正当な評価の仕方ね。だけど、そういうことなら佐倉くんが気に病む必要は微塵もないと思うけど」 「何、で……」
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