05. レボリューション ver.Pink

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***  その後も順調(?)に補習を重ねていき、佐倉くんとの関係も無事に解消することになった。幸か不幸か、佐倉くんが負い目を義理堅く感じていたが故に《図書館へ向かう道中での一件》を蒸し返すことがなかった点は幸いと言えるだろう。とは言え、話せば話すほど奥行きが広がる佐倉くんのブラックホールみたいな懐の深さは大変魅力的であると同時にいつか呑み込まれてしまいそうな恐怖も感じたりして、自分の中で混乱してばかりいる。佐倉くんの不可侵領域ラインをハッキリと認知した以上、深追いすることは良識として避けていた。しかし、確たる証拠を掴めなかったがために悶々としていることもやはりあるわけで……。 「紫乃、今回の試験は手応えありそう?」 「うーん、どうだろー?」 「えええ。それじゃあ、流石に佐倉が哀れだよ」  例え、本人同士が納得した関係だとしても、佐倉くんが持ち込んだ裏事情など知らない外野から見るならば、やる気のない生徒を受け持たされて可哀想……。という佐倉くん贔屓な現実しかないことを改めて実感しつつ、優希に向けて堂々宣言してみる。 「それもそうだね。じゃあ……今までで一番良い点、間違いなしだと思う!」 「いやいや、それは前から紫乃が大きな声で言ってたことじゃん!!」  佐倉くんとの補習を知る前にネタとして《一度、最下位を記録したら後は浮上するのみ》と語っていたことをしっかり覚えていた優希から豪快なツッコミが炸裂する。とはいえ……。
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