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「んー、それでも本当に浮上できるかは未知数なんだよね。正解としては《一度、最下位を記録したら後は沈むことはない》が的確だと思うし、実際に沈むことはないだろうけど、底辺をキープし続けることはあり得るわけだしね」
「……紫乃、そんな心意気じゃあ留年待ったなしになっちゃうよ?」
「いや、別に投げやりとかいうわけでもなくて」
本気で優希が心配していることが伝わってくるからこそ、素直に向き合いたいと思えていた。
「桃ノ木学園で定期試験で順位を発表し続ける限り、最下位を名乗る人はどうしても存在するんだよ。極端な話、私が90点を取ったとして、皆んなが満点取っちゃえば必然的に最下位になっちゃうわけで。今の成績でも90点を取っても最下位と呼ばれるわけで。だから、最下位という称号を避けることに重きを置く勉強より最下位だろうと誇れる成績を取る方向で考えるべきかなと思ったりして」
「なるほど、そういう理屈なら最下位という称号に危機感を募らせることすらない紫乃の現状に納得できるわ」
そう言って、優希はニヤリと不敵な笑みをこぼして私に耳打ちをしてくる。
「ところで、紫乃。むやみに敵を増やすのは辞めた方がいいと思うよ? 一応、あれでも佐倉は人気あるからねえ」
「……ううううう。だよねえ。桃ノ木学園の中でも群を抜いて秀でてる存在だし、そうなるよねえ」
「それに加えて、あの容姿。更には意外と人情味があるとくれば人気がない方が不思議というか」
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