03. ジャスティス ver.Peach

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03. ジャスティス ver.Peach

***  とりあえず、生徒会長の言い分を纏まると……佐倉くんは、私の謎を追っている。そして、十中八九その謎は《意図的な落ちこぼれ》を演じていること。 「(私としては、別に意図的に落ちこぼれを演じてる訳でもないんだけどなあ)」  結論として、落ちこぼれとなっても気にしない覚悟は持って桃ノ木学園に入学したが、意図的に落ちこぼれとなったつもりは一切ない。というか、流石に率先して周囲の士気を挫く馬鹿な真似をするつもりも更々ない。だが、周囲に迎合してまで、無理をするつもりもない訳で……。 「(そういう気構えが会長に透けて見えたのかなあ?)」  とはいえ、生徒会長の場合はあくまでも状況証拠からの追い込みだった。佐倉くんのように、物的証拠を握られた訳でもない。更に言うならば、佐倉くんの場合でさえ、いくらでも逃げ果せることが出来るくらい甘い証拠と言えるだろう。ならば、気を強く持つことこそが最善の策と言えるのではないだろうか。しかし、最後に生徒会長が漏らしていた一言がどうしても引っ掛かり、何とも言えないジレンマの嵐が胸の中で吹きすさぶ。  本人の与り知らないところで桃ノ木学園の権力抗争に巻き込まれているという発言を耳に挟んでいるにも関わらず、無視を決め込むことが、果たして本当に得策なのか。悶々と悩み、考え続けている間に、今日も夜は更けてゆく。
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