第4章

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 生まれ故郷から突然ここにやって来た碧馬に、どんな言葉を言っても慰めにならない気がした。  帰る方法はわからないし、何よりリュカは碧馬に帰って欲しくない。  碧馬はまだ知らないが、彼はリュカの運命の番なのだ。  でも家族に会いたいと思う気持ちは理解できた。自分だって、たった一人で異世界に飛ばされたら、寂しくて何とかして帰ろうとするだろう。  もし帰る方法が見つかったら、碧馬はどうするだろう。 「やっぱり帰りたいか?」 「……時々」  いつもと答えたいのを我慢して、碧馬はそう返事をした。  ここでの生活が嫌なわけじゃない。  みんな優しいし、自警団の中には自分の部屋があって仕事もあって、碧馬を大事にしてくれる人もいる。  それでも家族や友達に会いたいという気持ちは湧いてくる。  食べ物に困ることだってないけれど、たまに無性に母親の作ったおにぎりやカレーや餃子や肉じゃがが食べたくなって、そんな時はとても切ない。  あのマンガ続きどうなったのかなとか、映画に行く約束してたなとかそろそろ期末テストだとか、そんなことを思い出すとどうしようもなく寂しくなる。  すこし沈んだ碧馬の横顔を、リュカは黙って眺めていた。  どんな慰めも届かない気がしたが何とかしてあげたくて、広場の隅のベンチに座って抱き寄せた。  碧馬は素直に腕の中に納まって、ちょっと無理をした笑顔を浮かべた。 「ありがとう、リュカ」 「いや、何もできなくて悪いな」 「ううん。リュカに出会えて、本当によかったと思ってるよ」  さみしそうに笑う碧馬に胸が痛くなって、リュカはそっとその頬に口づけた。
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