第4章

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第4章

 ここに来て、常識の違いに驚くことはたくさんある。  もっとも大きいのはα、β、Ωの存在だ。  これについては何度説明されても理解が難しく、自分がΩと言われても実感のない碧馬は「そうなんだ?」という何とも頼りない感覚しかない。  ただ、はっきり理解できたのは、この世界では男女でも同性同士でも本当に構わないのだということだ。  そして最初にリュカが説明したとおり、Ωであれば男性でも妊娠、出産できるのだ。  信じられなかったが、男同士や女同士の番や子連れの家族を目の当たりにしては、もう否定することはできなかった。  だからと言って、自分がΩで子どもが産めるなんてことはいまだに信じられなかったが、リュカとガルダがそういうのなら本当にΩなのかもしれないとは思うようになっていた。  常識の違いが実感できるようになったころ、碧馬は自分の気持ちを自覚するようになった。  もしかして、俺はリュカが好きなのか?  リュカが来ると嬉しくて、顔を見たらドキドキして、頭を撫でられたりハグされるとカーッと顔が熱くなる。そんな碧馬の髪をくしゃくしゃと撫でて、リュカは楽しげに笑いかける。  もうその意味を知っている碧馬としては、どう対応していいかわからずに困ってしまう。  やさしく頬にキスされることもある。そんなとき碧馬は真っ赤になるだけだ。これはスキンシップのうちと言いきかせてもドキドキは治まらない。  そんな碧馬をリュカは優しい瞳で見つめてあまく微笑む。するとますます心臓はバクバクと音を立てて、碧馬はどうしていいかわからなくなる。  どうしよう。  やっぱり俺、リュカを好きなのかも。  リュカも好きだと態度に出してくれているから、これはいわゆる両想いってことなんだろう。だけど碧馬はその気持ちを抑えようとした。  好きになってもどうしようもない。だって相手は人じゃないんだから。相思相愛になったとしても、これ以上はどうにもなりようがない。 ※1週間で連載終了と言ってたのに終わりませんでした(^_^;)  もう少しおつき合い下さい<(_ _)>  
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