出会い

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出会い

 斬られて死んだはずの俺はなぜか生きており、目を覚まし、辺りを見渡すと知らない場所にいた。ここが天国か。 「おい、お前! どこの手の者じゃ! 名を名乗れ!!」  突然後ろから話しかけられ振り向くとそこには、貧相な服装をした猿のような男が槍をこちらへ向けていた。 「有馬直樹(ありま なおき)です。何かの撮影中ですか? すみません。僕、目が覚めたら知らないところにいて」 「さつ、えい? 南蛮語か? 怪しいやつめ!」  男の槍に突かれそうになるが、数人を従えた派手な服装の男が現れ、俺はひとまず槍で突かれずに済んだ。 「信長様ッ!! 怪しい男を見つけました。おそらくは今川の者かと」  信長って、ああこの人、信長役の役者さんなのかと思っていると、どこから来たのかと尋ねられたので、俺が叫んだこと以外の交差点での出来事を伝えた。 「こうさてん、とはなんじゃ?」  察しの良い俺は気づいてしまった。俺は戦国時代にタイムスリップしたようだ。ということは、この人は本物の信長で、隣の猿みたいな男は秀吉かな。信長なら未来から来たと言えば、「面白い」といって家臣に取り立ててくれるはずだと、俺は信長に未来から来たと言うことを伝える。 「未来から来ただと? 何をふざけたことを言っておる。」  どうやら俺は失敗してしまったようだ。
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