愛密咲く

12/38
1331人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
デパートに入ってから、憂が勝手気ままに動くのをただ付いて回るだけ。 そもそも手を繋いだままの状態に、嫌でも慣れてくるが私としてはまだ若い女の子、しかもピチピチの女子高生。 ふと、単純過ぎる悪知恵が頭の中に降りてきた。 私、なんで思いつかなかったんだろう… 手を離すにはトイレが一番でしょ! 「 ねぇ あのさ、私トイレ 」 「 ああ、そっか、大?」 「 バカ!離してよっ」 もうっ何が、大?よ。うんちじゃないっつーの! 「 愛月ちゃん!携番、知ってるから逃げないでね?」 私の甘過ぎた悪知恵は携番を知ってるから、ただその言葉で流されてしまった。 トイレの鏡に写る私は、長い自慢の髪もバサバサしている。 やだ、私の髪がっ!シュシュ持ってたかなぁ… ん? 気配と視線を何となく感じた気がしてシュシュを探す手を止めて、入り口を見ると… 「 いっ… きゃあっ!!な、ななななにっ 」 「 いや、愛月ちゃん遅いから心配でさ 」 「 普通入らないでしょ!」 私が感じた気配は憂だった。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!