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デパートに入ってから、憂が勝手気ままに動くのをただ付いて回るだけ。
そもそも手を繋いだままの状態に、嫌でも慣れてくるが私としてはまだ若い女の子、しかもピチピチの女子高生。
ふと、単純過ぎる悪知恵が頭の中に降りてきた。
私、なんで思いつかなかったんだろう…
手を離すにはトイレが一番でしょ!
「 ねぇ あのさ、私トイレ 」
「 ああ、そっか、大?」
「 バカ!離してよっ」
もうっ何が、大?よ。うんちじゃないっつーの!
「 愛月ちゃん!携番、知ってるから逃げないでね?」
私の甘過ぎた悪知恵は携番を知ってるから、ただその言葉で流されてしまった。
トイレの鏡に写る私は、長い自慢の髪もバサバサしている。
やだ、私の髪がっ!シュシュ持ってたかなぁ… ん?
気配と視線を何となく感じた気がしてシュシュを探す手を止めて、入り口を見ると…
「 いっ… きゃあっ!!な、ななななにっ 」
「 いや、愛月ちゃん遅いから心配でさ 」
「 普通入らないでしょ!」
私が感じた気配は憂だった。
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