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私を離さない、憂のこの腕が好き。
あの頃__
デパートで何かを買いにきたと言った憂は、雑貨屋に入ると私の手を離した。
不意に手から温もりが消えていく。
「 こういうの女は好きだろ?見てていいよ 」
「 え… いいの?逃げるかもよ?」
あ、私バカ!言ってどうすんのよっ
「 ん~ 愛月ちゃんは逃げないだろ。あとで声かけるから、見てなよ 」
ちょっと拍子抜けしてしまった。
変に信用されてるような感じがして、逃げる気がなくなってしまう。
そんな憂を見ながら、店内にある雑貨を見て回ると、憂が一ヶ所に止まり、じっと何かを見ている。
何、見てんのかな… あれって… アクセ?
だよねぇ 彼女にプレゼントとか?
「 ねぇ、もしかしてプレゼント買いにきたの?」
ふっと私の言葉に笑って流す憂。
手に取り見つめる視線にはピンクゴールドのネックレスに、淡水パールとハートに、クロスのチャームが付いている。
少し硬めな印象が、ピンクゴールドという色合いが柔らかい女の子をイメージさせる、温かみが感じられる物だった。
「 わ… これ、すごくいい… 可愛いっ」
「 気に入った? さすが女子だな 」
「 あ、これブレスもある。見てよほら、淡水パールでブレスだよ?チャームは… あ、ハート錠に鍵もついてる。可愛いっ!!」
「 そういうの好きなんだ 」
うん!しっかり頷いて、ブレスを手首に付けて 憂に どう?と見せてみると、憂がじっと私を見ているが、私は一人浮かれていて、憂がこの時 何を思って私を見ていたのかは まだ何もわからなかった。
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