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憂に触ってほしいと思うのに、憂は触れてくれない。
もどかしく疼くものを知らないふりして出掛ける準備をする。
「 愛月、行ける?」
「 うん、でも どこ行くの?」
「 ドライブ 」
ドライブ? 憂ちゃんと…
「 愛月 」
私は手を差し出す憂の手を握った。
憂の車に乗り、高速を使い向かったのは湖だった。
着く頃には夕暮れ手前の時間。
駐車場から少し歩いて行くと、広い公園のようで、湖に沿い歩けるようになっていた。
時おりスレ違うのはカップルばかり。
「 憂ちゃん、恋人にはいいとこだね 」
ベンチでイチャつきながらキスしているカップルもある。
じゃれあいに混じったらわかんないものかなぁ…
「 愛月、俺らも座る?」
「 うん、座ろうかな… あ、待って!あそこ行きたいっ 」
私が行きたいと言ったのは公園の奥に木々に囲まれた中にあるベンチ。
そこまで行きベンチに二人で座ると、ちょっとした木々の家のようで、前には湖も見える。
夕陽が一層明るく木々がオレンジ色を隙間から通して幻想的だ。
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