掃除人の告白

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掃除人の朝は早い。 宮廷の方々が起きる前には部屋を出て、長い廊下の大理石一つ一つを布で磨いていく。 大理石の間に水が入ると苔が生えてしまうことがあるので、雑巾を固く絞って注意しながら拭いていく。 終わりが見えない廊下を拭きあげたころ、みなさんの朝食の時間になる。 各々の部屋から姫様や奥様が出てくると、僕はさっと端へ寄り邪魔にならないようにした。 奥様はすでに綺麗に身支度を済ましていらっしゃった。 いつでも隙がないお人だと思う。キラキラと朝日を反射して輝くイヤリングや指輪。たくさんの種類の布を使って飾られたお召し物。 美しい顔からは気品の高さが感じられるが、冷たいお人ではない。 「おはよう、マルコス。今日もお疲れ様」 「奥様、もったいなきお言葉ありがとうございます」 こんな僕のところにだってわざわざいらっしゃって、声をかけてくださる。 「いつでもここが綺麗なのはマルコスのおかげです。本当に感謝しているのよ」 「これからも努めてまいります」 そう答えると、奥様はにっこりと素敵な笑みを浮かべて去っていった。 この宮廷に住まう人たちはどなたもいい人ばかりだ。奥様も姫様も他の使用人たちも、みんなが助け合って仲睦まじく暮らしている。 世の中には非冷な女王がいたり、使用人たちがこき使われる宮殿があるらしいがそんなことは僕たちの暮らしとは無関係。 とてもとても平和で幸せな日々だ。
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