掃除人の告白

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そんな今朝のこと。 「おはよう、マルコス!」 明るく爽やかな声がして僕が顔をあげると、そこには姫様がいた。 「おはようございます姫様、今日もおかわりなく」 「もう、マルコスったら、敬語じゃなくていいって言ってるじゃない!」 ぷんぷんと音がなりそうなくらい頬を膨らませた姫様は腰に手を当てて言った。 「そうは言われましても…僕はしがない掃除人ですから…」 「ねぇ、マルコス」 床を見ていた僕の目は、姫様の手によって動く。 僕の目には姫様の顔。僕の顎には姫様の指。細くて長くて白いそれは、触れられるだけで心臓がばくばくと音をたてる。 整った姫様の顔を呼吸もできずにじっと見つめる。 「私たちは同い年でしょ?私、お友達が欲しいのよ。だから、あなたが私の友達になって?」 「で、でも……」 「身分の違いとかここでは関係ないわ。みんな平等。みんな幸せなの」 わかるでしょ?と囁かれ、僕は黙って頷いた。 「よかった!わかってもらえて!」 姫様はさっと立ち上がった。ふんわりと花のいい香りがした。 「マルコス、いつも宮殿をきれいにしてくれてありがとう!私とっても嬉しいの!」 「……ありがとう……頑張った甲斐が……あったよ」 たどたどしく敬語を外しながら答えると、姫様は満足そうに目を細めた。 「それでね?お願いがあるんだけど‥‥…」
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