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急に距離を縮めてそういう関係にまでなったが、お互いにはっきり、好きだとか付き合おうとか言ったわけではなかった。
なんとなくいい雰囲気になり、なんとなく成り行きでそうなり、はっきり考えないようにしていたが、他人に改めて言われると堪えるものがあった。
それに、この頃は会えば彼が必ず体を求めるようになっていたので、それにも辟易していた。にも関わらず、以前のようにすぐ連絡をくれるわけでもなくなっていた。
彼はどう思っているんだろう。
彼女面をしていいんだろうか。
「ねえ、私のほかにも女の子がいるの?」
久しぶりに会えたとき、一緒に昼ご飯を食べながら、直接本人にぶつけた。
直弥君はこっちを見て目を見開き、食べているものを途中で止め、次いで、ゴホンゴホンとむせた。
「なに急に」
「最近、返信が遅いから」
彼は水を流し込み、言った。
「そう? でも俺もヒマじゃないし」
「私見たの。その女の子といるところ」
カマをかけた。私は実際に見てはいなかったが、涼花たちの話は間違いではないと考えていた。そういう勘はだいだい当たる。
直弥君はお手拭きで口元を拭うと、目を逸らしてしばらく黙っていた。
そして、意を決したようにこちらに向き直って私に言った。
「だって、お前、ずっと上の空じゃん」
「え?」
「俺は本気だった。でもお前はずっと上の空で、心ここにあらずって感じで。俺ばっかり、って馬鹿らしくなった。……今さらだろ」
彼は開き直って言った。
私のせいなのか。
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