7/9
前へ
/39ページ
次へ
急に距離を縮めてそういう関係にまでなったが、お互いにはっきり、好きだとか付き合おうとか言ったわけではなかった。 なんとなくいい雰囲気になり、なんとなく成り行きでそうなり、はっきり考えないようにしていたが、他人に改めて言われると堪えるものがあった。 それに、この頃は会えば彼が必ず体を求めるようになっていたので、それにも辟易していた。にも関わらず、以前のようにすぐ連絡をくれるわけでもなくなっていた。 彼はどう思っているんだろう。 彼女面をしていいんだろうか。 「ねえ、私のほかにも女の子がいるの?」 久しぶりに会えたとき、一緒に昼ご飯を食べながら、直接本人にぶつけた。 直弥君はこっちを見て目を見開き、食べているものを途中で止め、次いで、ゴホンゴホンとむせた。 「なに急に」 「最近、返信が遅いから」 彼は水を流し込み、言った。 「そう? でも俺もヒマじゃないし」 「私見たの。その女の子といるところ」 カマをかけた。私は実際に見てはいなかったが、涼花たちの話は間違いではないと考えていた。そういう勘はだいだい当たる。 直弥君はお手拭きで口元を拭うと、目を逸らしてしばらく黙っていた。 そして、意を決したようにこちらに向き直って私に言った。 「だって、お前、ずっと上の空じゃん」 「え?」 「俺は本気だった。でもお前はずっと上の空で、心ここにあらずって感じで。俺ばっかり、って馬鹿らしくなった。……今さらだろ」 彼は開き直って言った。 私のせいなのか。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加